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[新闻] 卡婊想钱也是想疯了,3DS移植逆转4,出1~6套装,豪华版15万日元

恩,首先是4移植3DS,系列最烂一作还移植。

然后ECAPCOM限定,1~6套装,其中123和5都是best price的廉价版包装

最后是带纯金牌的豪华限定版,15万日元。

土豪们赶紧买买买吧。
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5的故事至少讲清楚了,推理部分也没太大bug,也不需要像4里找胳肢窝流汗这种变态的惯性,最终bos也不像4那么搞笑弱智。



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引用:
原帖由 wopare 于 2017-8-10 10:56 发表
5里那所谓的心理分析系统比4弱智搞笑多了,故事方面像5这种水平的故事,讲不讲的清楚大概已经不重要了吧,推理我也不记得5有什么像样的推理,4虽然各种问题,比5还是要强一点的
有的时候故事宁愿本身弱智一点,但至少还要讲得通,总比故事又弱智又讲不通还好。
下面有很详细的4,5两作的评测,比起喊口号要有说服力得多。
4的最终评价是黑历史
https://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/2236.html

5的最终评价是良作
https://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/3643.html

[ 本帖最后由 古兰佐 于 2017-8-10 11:46 编辑 ]
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15万主要是那块金牌的价格,单纯1到6的套装只要一万五左右。大逆转毕竟刚出估计卡婊不想这么快放套装里。检士系列还多了个问题就是没3ds版,不同平台的游戏放一起套装卖多少有点怪。

虽然卡婊干过这种事。

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好吧改成链接算了。。。。

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算了,还是贴出来吧,4里吐槽的地方多的快可以写成一篇论文了。4明明当年有50万的销量,照样逆转正传系列被冷藏,到了5里照样有些为了照顾4的剧情而导致的别扭内容,到了6干脆就是变相将王泥喜篇给中介让丫滚蛋了,几个先关制作人在介绍的时候都故意不写4,这还不说明问题?如果说5里登场的心音这个角色和玩法没意思所以6里大幅度缩水减少戏份的话,那为了给4代擦屁股真的是耗费了整整两代作品。

这次只贴4的吐槽点。其实比之前编辑掉的那楼比没短多少,因为4真没啥优点。

問題点

ストーリー

逆転裁判シリーズはざっくり言ってしまえば、「推理物のテキストADV」である。
何よりもストーリー(ひいてはテキスト、犯行のトリックや動機)が最も重要な要素であることは言うまでも無く、その出来が悪いということが何を意味しているかは説明するまでも無いだろう。

ストーリー全体を通しての問題

今作最大の問題点は、全編を通して事件の矛盾、登場人物の不可解な行動、明かされない謎が多いことである。事件を解決しても辻褄が合わなかったり、納得できる説明がなかったりすることが多い。
しかも伏線の不足から突飛な内容になっているのではなく、登場人物の心理描写などが皆無なせいで、思わせぶりなことをしておきながら結局何の説明も無しに物語が終わるという点が多い。伏線(らしきもの)を張るだけ張りながら消化しきれてないのである。
逆転シリーズ全てが謎のない作品と言うわけではない *1 が、過去シリーズの話の説明されない謎・トリックの問題は大抵1話の中で完結しており、シナリオをまたぐ場合でも破綻というほど整合性が取れない不可解な描写がされることはなく、また考察などである程度解決できる程度の謎であった。
つまり本作のシナリオ・トリックは、考察しても結局は断定があまりできない可能性レベル止まりで終わることばかりで、登場人物だけが勝手に自己完結したりして終わる展開が多く、プレイヤーは消化不良のまま終わることが非常に多い。
そもそも考察云々など小難しい話を除いても、本作の場合単純にその数が多すぎる。
サブキャラとして前作主人公の成歩堂が登場する。だが、とある人から仕掛けられた罠にハマったせいで法曹界を追放された上に偽証や盗撮を平気で行う男に堕落しているなど、前作までの人物像を徹底して破壊。しかも本来主人公であるはずの王泥喜の出番をかなり喰っている。
『逆転裁判』シリーズは独立した各シナリオの中に伏線が仕込まれており、最終話までプレイすると全体で1つのストーリーができあがる構成になっているが、今作ではシナリオ間の整合性が取れておらず、全体の流れにほころびがある。
最も顕著なのが第1話の被害者の行動。彼は最終話になって初めて正体が明かされるキーパーソンの1人なのだが、彼の取った行動があまりにも不可解で、全ての真相が分かった後でも何をしたかったのかが分からない。
このため今作のストーリーは、 「ある人物が思慮の浅い行動をとったせいで、殺人の濡れ衣を着せられた人物が奇行に走り、成歩堂を始めとする関係者がとばっちりを受け、プレイヤーがその尻拭いをさせられる」 という妙なものになってしまった。
シナリオ個々の問題

前半の1話、2話こそそれなりにまとまっているのだが、後半に当たる3話、4話はこれまでのシリーズ作品からは考えられないほど破綻だらけであり、プレイヤーは盛大に置いてけぼりを食らう。
事件概要の時点でいくつも矛盾を見出だせるのだが、裁判中ではスルーされるか後半でようやく問題にされる。矛盾を暴くことが目的のゲームで、プレイヤーの目の前にある矛盾が見過ごされていく様に一度違和感を覚えてしまうと、第3話の法廷パートは大半がグダグダに感じられるだろう。
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物語構成というメタ的な視点からの第3話法廷パートは、閉廷時の裁判長の発言などから「証拠不十分な相手との戦い」がテーマのひとつと推測できる。
そんな第3話の事件では、有効な目撃証言が得られない。弁護側の突っ込みどころがかなり少ない中で苦戦を強いられる話なのだが、その結果、終始破綻に満ちた内容となってしまった。

・事件概要
事件はあるコンサート会場で起こる。出演者のマネージャーが会場の楽屋で何者かに撃たれ死亡するが、現場に居合わせた刑事が目を離した隙に死体が姿を消し、ほどなくしてせり上がった舞台装置の上で発見される。そして、被害者の隣で気絶していた出演者が逮捕されるのだが…。

まず、殺人犯がそんなことをして何のメリットがあるのかが分からないうえに、短時間で誰にも目撃されず1人で実行するのは無理がある。
舞台装置は全高数メートルという大きなものでせり上がるのに時間がかかるし、こんな物が動こうものなら大きな音がするはずである。しかも被告人は10代前半の小柄な少年、被害者は大柄な男性である。楽屋から舞台まではそれなりの距離があるのにどうやって運んだのだろうか?殺人犯が犯行後死体の横で暢気に寝転んでいるというのもおかしい。
凶器は「撃てば大人の男性でも肩を痛めるほど反動が大きい大型拳銃」で、その反動の大きさについては作中でも最序盤から幾度となく語られている。とても小柄な被告人に扱えるものではなく、仮に撃つことができたとしても肩を痛めているはずである。逆に言えば、被告人が肩を痛めていないことは無実の証拠となるはずなのだが、その点には一切触れることができない。
それでいて真犯人は最終的に肩を痛めているのが露見したことで逮捕された。ちなみに、この痛めた肩の伏線は3話冒頭・事件発覚前に張られていたりする。
その経緯についても、法廷関係者が「真犯人は肩を痛めている」と知るや、牙琉「訓練を受けていても反動から扱いづらい拳銃だし、被害者と犯人は格闘した可能性がある」→王泥喜「争って拳銃を奪ったのかもしれない!」→裁判長「つまり、変な体勢で撃った可能性がある!」という要領を得ない推論を流れで提示するだけである。
ちなみに、凶器のこの拳銃は2発発砲されており、「一発目は外れて、二発目で命中し被害者を殺害」であるのだが、このことについての警察・検察側の見解は「被告人は子供だから最初は上手く扱えず、一発目は外れた」といういい加減な推論のみであり、それに対して弁護側は反論すらさせてもらえない。
・検察側の起訴理由があまりにもお粗末。

銃声がして人が来る→部屋に1つしかない扉からは出られない→小柄な被告人ならば通気口から出られる→被告人の指紋が通気口のところにあった→だから犯人というものだが、「指紋がいつついたか証明できていない」と指摘するだけで崩れてしまう。そもそも、被害者が撃たれたときに被告人がその場にいたという立証がなされない時点でアウトである。
ちなみに、凶器の拳銃からは指紋が見つかっていない(少なくとも法廷記録にそのような記述はない)。すると、被告人が犯人だったとすると凶器には指紋をつけないようにしたのに、逃走経路には指紋を残していたことになる。なんのためにそんなことをする必要があるのか?劇中の人物は誰も気づかないし、指摘しない。
過去作では、状況証拠が提示された際に「事件当時も(事件当時から)そうであったとは限らない」という異議が唱えられ、「その証拠を事件当時の状況に適用できるか」を議論する、という場面も多かった。
動機についても、「被告は被害者と付き合い長いから理由ぐらいあったんじゃないかな?」というこれまた非常にいい加減な憶測だけである。
このように被告人を起訴するのに何一つ確定した証拠がないにもかかわらず、最後の最後で真犯人を追い詰める際に検事と裁判長は「誰が見ても明らかなんてことは法廷では通用しない」「証拠の提示が必要」とか言い出す。それを言ったらこの裁判はひどい茶番である。理不尽どころの話ではない。
こんな不十分な証拠で起訴するのは「ラミロアという親善大使がいる以上事件の早期解決が必要で、状況から彼しか考えられないと"上"がうるさいから」である。捜査機関上層の無能っぷりと牙琉がそれに反発しなかったことは置いておくとしても、それを牙琉はわざわざ成歩堂事務所に出向いて爽やかな笑顔で言い切るのでタチが悪い。おまけに逮捕しているその被告人こそが「親善大使」の相方なのだが。しかもその親善大使のラミロア本人も、後述のようにデタラメな証言をして裁判を混乱させている有様である。
その「彼しか犯人が考えられない状況」について聞くと、「そんなこと、弁護士の君に教えるはずがないだろう?」。それ自体は正しい *2 のだが、実際に法廷で明かされる内容が上記のありさまである。
・まだ検察側の立証は不十分なのに、裁判長がやたらと結論を急ぐ。

しかも「学生時代からの親友である司法長官の息子が病気なので、(個人的な点数稼ぎも含めて)お見舞いに行きたい」という理由。裁判二日目はそれが原因で開廷をやや遅らせている。一応後半の展開の伏線ではあるし、人物像的にそういうこともしそうだと思わないこともないが、いくらなんでも理由付けが不純すぎる。
・終始グダグダに進む審理

「事件は限定的な密室で発生。その場所に、被告人が逃走したらしき形跡がある」。これが検察側の最初の立証であり、殺人罪に値する決定的な証拠はまだ無い。前述のとおりとっとと判決が下されそうな中で、弁護側は証人を呼ぶなどして対抗する。
しかし第3話では、弁護側の証人すら証言台の上で事実を偽り隠し事をする不審人物ばかり。いわく「真実を証言すると、仕事上の契約条件で秘匿するように言われている事柄に触れざるを得ない」との事だが、おかげで審理の回り道が非常に多く、なかなか真相に迫れない。
そもそも、彼女は「この国の言葉(日本語)で話すのに慣れていない」と語っている。多少日本語が話せる程度の相手に通訳もロクにつけずに話をさせること自体間違っている。
さらに、ようやく事実に基づく証言を引き出せたかと思えば、「真犯人とおぼしき人物の声を聞いた」という決定的とは程遠い内容。そもそも契約条件に抵触するから話せないというのであれば条件を提示した人間に許可を取れば良いだけの話(仮に相手が渋ったとしても、さすがに検察から「殺人事件の捜査のため」と圧力がかかれば許可を出すであろう)であり、契約云々で証言を渋る必要は全く無い。
結局、初日の裁判で得られる情報はこれだけ。つまり、「彼女が初めからそう言えばすぐに済んだことを、全く必要の無いことで証言を渋ったせいで、意味も無く何度も回り道をしてダラダラと長ったらしく続けただけ」という前代未聞ぶり。しかも、王泥喜に証言を見破られた際に、急に一時的にボルジニア語で反論し始めたことから「裁判で証言することによる緊張や不安・混乱」は考えにくいだけに余計タチが悪い。しかも、検察側の証人を王泥喜が切り崩していったのならともかく、彼女は弁護側が召喚した証人である。
・事件に関連する様々な出来事が、ことごとく不自然。

被害者の行動
こと切れる間際に残した言葉が、犯人ではなく目撃者を示すキーワード(犯人については「わからない」と発言)。もってまわった非常に曖昧な内容で、明らかにミスリードを誘うものになっていた。しかも、状況からすると「どうして目撃者がいることを知っているのか」が不明。
自分の国際警察の登録ナンバーをダイイングメッセージとして書き残す。もっと他に書いておくべきことがあったのでは?
このダイイングメッセージは犯人によって消されているのだが、犯人にこれを消せるタイミングは犯行直後以外に存在しない。よって最後まで書かれたメッセージが消されているということはダイイングメッセージを書いている被害者を放置してわざわざ最後まで書かせてから消し、その直後にも生死の確認をせず、とどめを刺すこともしなかったということになる。
「瞬間移動のイリュージョン」
この事件の起こった背景には「A地点で影武者が歌っている間に本物の歌姫が通気口を通ってB地点へ移動する」というトリックを用いた舞台がある。しかしA地点にすでに影武者がいるのなら本人は最初からB地点に潜んでいればいいはずであり、移動する必要はない。
また、舞台は生音声にこだわり、通気口の中を移動しながら歌姫自身が歌ったものをライブ会場に放送していた(影武者は口パク)。盲目の歌姫が狭い場所で移動ながらそんなことをしたら歌に不自然さが出てトリックがバレてしまうのではないか(実際、犯行当時の銃声を聞いたため驚いて歌がストップしてしまい、バレてしまっている)。
言ってしまえば「大掛りな仕込みは全部無意味」というくたびれ損な話でモロに不自然で明らかに構成上のミスなのだが、そのくせこれ自体に物語を直接破綻させる要素はないという非常にコメントに困る存在になっている。
トリックとは直接関係ないが、このとき牙琉が演奏していたギターの中に密輸品と発火装置が隠されており、真犯人と被告人が隠滅するために燃やしたのだが、これについても「ギターの構造上、内部に物が入っていたら音の響き方などに明らかな違いが出るはずなのに、なぜ誰もそれに気付かないのか(牙琉は燃えたギターについて「いい音色だったので褒めたら贈ってもらった」という旨の発言をしている。つまり発火装置が設置される前のギターの音色を聴いているということであり、少なくとも彼が気付かないのは不自然)」と指摘されている。
浅はかな殺人未遂事件
初日の法廷の終了間際、証人から「声が同じである」との理由で、ある人物を犯人と断定する証言が飛び出る。それを聞いた真犯人は、焦って口封じを行おうとして失敗(それに関する対応もほとんどなし)。結果、不確かだった証言にある程度の信憑性を持たせてしまった。当然、被告人は自由に行動などできるはずもない。
前述した「舞台装置の上で横たわっている被告人と被害者」
既に述べた通り不自然なこの状況を「歌に合わせた見立て殺人」だと検察側は説明するが、そんなまわりくどいことをした理由は一切説明しない。弁護側は「見立て殺人にすることで犯行時間をずらすために行った」と一応の説明をしているが、後述のようにその主張も無理がある。
順番を整理すると歌の歌詞では「鍵が盗まれる→人が燃える→弾丸が命を奪う→二人は空へ」、実際の犯行は「鍵が盗まれる→弾丸が命を奪う→牙琉のギターが燃える→楽屋に仕掛けた爆竹の破裂音を銃声と誤認した王泥喜と茜が被害者を発見→舞台装置で被告人と被害者が上へ」なので「爆竹による誤認と最後を一致させることを合わせて「人が燃える」と「命を奪う」の順番を逆に見せかけた」ということになる。
と言ってもこの状況以前の事件の内容が歌の通りになってしまったのは単なる偶然 *3 なので、犯人はとっさの思い付きでこんな奇妙かつ実行するにはリスキーな状況を作り上げたことになる。
また、真犯人はこの状況の直前に「ギターが盗まれた」と騒いでおり、そのギターは被害者の上に置かれていた。これも彼が仕立てたことになるが、やはり意味が分からない行動である。歌詞が「Guitar Guitar 二人は空へ」だからギターを置いたのだろうが、何も自分のものを、というか置く必要そのものが全くない。
このギターについては以降法廷でも探偵パートでも一切話題に上ることがない。つまり、本当に何の意味もないまま終わってしまっている。
・不審な点が多い検事

裁判を進めると検事の職権濫用による行動が事件の引き金になったことが判明するのだが、それに関するさまざまな不正行為は取り上げられない。少なくとも犯人と近い関係であった検事は密輸および殺人の協力者であったという疑いがかかってもおかしくないのに、誰もそれを疑問に出さない。
この点の詳細は後述の「登場人物」項の牙琉響也の項目を参照。
決定打は真犯人の自白。しかし、その展開に無理がある。

二日目の裁判は「国外持ち出し禁止の繭の密輸」が重要なテーマとされ、メインの事件の解明は完全スルーし、その「繭の密輸」についての論議が展開される。
つまり「2」の2話であったような、いわゆる「別の角度から真犯人の犯行を立証」というものなのだが、この3話ではただ繭についてグダグダと論議という名の雑談をするだけであり、「2」の2話とは完全に似て非なる展開である。
犯人が行ったことをまとめると「国外持ち出し禁止の繭を被告人と共謀して密輸、それに気付いた被害者を殺害」といったものである。つまり、最初から被告人がすべてを打ち明けていれば解決した事件なのである。というか、実際そうやって解決した。
これについては前述した繭が、「密輸した場合、原産国では死刑になる」という代物で、それを恐れていたためという理由があり、「日本で刑罰を受ければ死刑は避けられるし、少なくとも殺人よりは刑が軽い」という王泥喜の指摘で自白することになる。しかしそのタイミングが真犯人を追い詰め、逃げられそうになってやむを得ずというもので、もっと早く指摘すればスムーズに進んだはずである(少なくとも、被告人が密輸犯であることと原産国の法律では死刑であることについてはもっと早いタイミングで判明している)。
しかも(早く自白するべきという意見とは正反対の話になるが)、日本の法律ではないとはいえ確実に死刑になる重罪(しかも本人がそれをちゃんと認識している)を犯した人物を、その刑罰から免れさせるという手段で解決することを感情的に受け入れられるかどうかという問題もある。
初日目の裁判と合わせると、最初から被告人と証人が本当のことを打ち明ければ解決した事件なのに、隠し事ばかりしてグダグダと長ったらしく続けただけの事件なのである。
それなのに解決後は、裁判を混乱させた元凶のこの二人からの謝罪やフォローなどは一切無い。
そして証拠不十分なままなのだが真犯人は被告人が裏切りそうになるなり自白してしまう。
その際の王泥喜の発言をまとめると「法はあなたを裁けないかもしれないが、もはやあなたを潔白と思う人は被告人含めて誰もいない」というものだが、それで何故か証拠不十分な罪について自白してしまう。素直に逃げおおせればよいものを……。
「良心の呵責に耐えられなかった」という見方もできなくはないが、そんな描写は当然あるはずもない。
少なくとも、「真犯人は被告人と協力関係にあった」という証拠はどこにもない。
・事件の総括もいいかげん。謎の一部をぼかしているというより、完全にぶん投げている。

どのような方法で実際に犯行がなされたかは不明。事件の真相は場当たり的な推論が並べられるだけで、真犯人の名前以外は全て闇に葬られてしまう。
現場検証の結果、被害者は犯人と格闘した末に自身が携帯していた拳銃で撃たれ殺されたことが判明するのだが、被害者が息を引き取る間際に犯人のことを聞いても「分からない」と答えていた。さらに倒れた被害者が向かっていた方向はただ一つだけの入り口がある方向で、犯人は被害者を挟んで入口と反対側の位置から銃撃している(ご丁寧に入口側の壁に弾痕まである)。つまり、犯人は顔を見られずに部屋に入って格闘し、銃を奪い、顔を見られないまま被害者ごと入口の方向に向き直り射殺という離れ業をやってのけたことになる。しかし、真犯人は覆面もかぶれない(というかそれだけで誰だか分かる)ほど特徴的な髪形をしている。
容姿の特徴が矛盾点として挙げられることはシリーズの定番であるが、今回に限っては完全放置。「あの髪型を表現する言葉がなかった(だから「わからない」と言った)」「実はカツラだった」という説もあるが、これらも可能性どまりで劇中では全く示されない。というか、髪型を抜きにしても真犯人はこれまた特徴的な服を着た大柄の成人男性で、本当に姿を見ているのなら何か一つぐらい特徴を指摘できるはずである。少なくとも、前述したようになぜいるとわかるのか不明な目撃者について、回りくどく伝えるよりは確実である。
前述したように、この真犯人は被害者と被告人を誰にも見られずに運ぶということも行っているため「犯人は透明人間になれる超能力者」という珍説が飛び出す始末である。
本シリーズは霊媒をはじめ超常現象が存在する世界の話と言っても、当たり前だがその効果が科学的に実証されてはいないし、何より真犯人がそんな超常能力を備えていた描写は一つもない。「劇中描写を整理したら、こうとでも考えないと辻褄が合わない」という揶揄である。
真犯人の「動機」も推論しか述べられず、完全に放置されている。
過去作ではほとんどの事件で、動機まできっちり証拠つきで弁護側が説明をつける必要があった(本作発売時点で、真犯人の動機が推測のみでとどまっているのは『蘇る逆転』5話だけ)。
事件の発端は真犯人が密輸に手を染めた事にあるのだが、警察関係者である真犯人が重罪と承知で密輸と関わるに至ったそもそもの理由は曖昧。作中では「問題の繭からはとある不治の病の特効薬が生成可能で、司法長官の息子がその不治の病にかかっていたため密輸品を司法長官に売ろうとした」という仮説が延べられるが、犯人が自分の動機を語る場面がないためはっきりしない。
これについても王泥喜は「司法長官の息子が国内初発症の不治の病にかかっているというニュース」を提示して主張するが、状況証拠でしかない。真犯人と司法長官のつながりは全く立証できず、それをよりによって真犯人から指摘され、そこで言葉を失い先に進まない。
また、司法長官の人となりについては全く示されないため、本当に息子のためにこんなリスクの高い取引に応じるのかという疑問がある *4 。真犯人からすれば、この疑問が解決すれば金が手に入り権力も味方するという格好の取引相手なのだが……。
仮に全部真実だとして、ここまでリスクの高い取引で権力と金を求めた理由も不明。真犯人(悪役)なのでそこの理由は放置で「単純に金目当て」でも問題なくはないが、人気ロックバンドのギタリストがわざわざそこまでするかという疑問もある。
証言で真犯人は一度も外国に行ったことがないと明言されている(しかも親友である牙琉がそれを裏付けてしまう)のにも関わらず、どうやって外国人の被告人と知り合い、共謀したのかという謎も明かされない。
さらに、密輸に関しては被告人も共犯だったのだが、その理由については「金が必要だった」としか触れられず、全く明らかではない。繰り返すが、密輸していたものは原産国では密輸者を極刑に処すものである。このせいで、余計被告人に対する反発を生んでいる。真犯人と違い、主人公が助ける人間なのにここを放置してはダメだろう。
あえて理由をつけるなら「証人の目の治療費を得るため」といったところになるが、元々売れっ子のアーティストコンビで、今回に至っては国外ライブまで行っているのに今更目の治療費ぐらいでこんなリスクを犯すだろうか?そもそもそういう話ならこの期に及んで黙っている必要性がないのだが。
感情論になるが、破綻し切ったトリックには目を瞑っても、「被告人はなぜ、わざわざ警察関係者と共謀してまでそんなものを密輸したのか? せめてその理由ぐらいは明らかにしないとプレイヤーは納得しない」とは考えられなかったのだろうか?
もっと言えば、登場人物間の関係や犯人と被告人が密輸に手を染めた動機・心情などが丁寧に描かれていたならば、いくらトリックなどに無茶があってもまだ評価はできたし、現に過去作もそれに当たるのだが、そこが雑となれば本当にどうしようもない。
この3話がこのように肝心な部分が明らかにされずに終わってしまうことについては「プレイヤーの想像に任せている」などの擁護意見もあるが、「実際に行われた犯行の内容」「犯行の動機」という、最も説明しなければならない部分をいわゆる「想像オチ」にして終わらせるのは常軌を逸している。そもそも、想像に任せるにしては確定している材料が少なすぎる。これでは、「想像に任せる」を通り越して「考えるのも説明するのも面倒だから、全てプレイヤーの想像に丸投げ」である。
このため「真相は全然違うのかもしれない」「被告人の方こそ密輸の黒幕だったのでは?」という憶測が出る事に。あくまで推測どまりだが、これでも話は自然に成り立ってしまうし、「証拠がない」という点では劇中の推測と五分である。
そして解決後は、終始消化不良に陥っているプレイヤーをあざ笑うかのように、王泥喜たちが「終わり良ければ全て良し」と言わんばかりにあたかもハッピーエンドのように勝手に盛り上がって勝手に物語が終わってしまう。
・回想シーンがないせいで事件の全体像がつかみづらい。

前述のようにこの3話は事件が解決しても、犯行の瞬間や被告人や犯人の行動を表すシーンや背景の説明が全くないため、ただでさえ疑問点の多いシナリオに対するモヤモヤが晴れず、消化不良感をさらに強くさせてしまっている。
代わりに多用されるのが事件の中心となるライブシーンである。スキップ不可能なうえに、裁判中に10回近くは見せられることになり、テンポが異常に悪い。しかも、そこから謎を見つけるのが難しい。
「銃声に驚いて一瞬歌がとまる」という重要なヒントがあるのだが、歌声がなく字幕で表示されるため、問題の個所が非常に分かりにくい。また、「被告人が片手でピアノを引いている部分を探せ」という問いもあり、これも非常にわかりにくい。ただ、これらに関しては失敗してもペナルティがないため、最悪総当り方式で何とかなるにはなる。幸い選択肢もそれほど多くはない。
このように、第3話は不可解な事件についての説明・解明がほぼなされず、ほとんど推論のみで物語が進み、決定的な証拠もないのに真犯人が勝手に自白するという、無駄に遠回りさせられた挙句自己完結する終始プレイヤーを盛大に置き去りにしたシナリオになってしまっている。
余談だが、「第3話で最もまともだった登場人物は、一貫して地に足の着いた主張をしていた真犯人」などと言われる事もある。台詞やダメージモーションも面白くかつ印象に残るものが多く、意味不明な日本語を繰り返す証人や鉄面皮の依頼人よりもずっと好感が持てる。最後は真犯人に感情移入してしまい、弁護側や検事が憎たらしく見えたというプレイヤーまでいる。
破綻しまくりの犯行のトリック、ツッコミが弱く勘違いも頻発する新米弁護士、立証はいい加減で犯罪の片棒すら担ぎかけた検事、嘘や隠し事の多い証人と被告人、証拠不十分なまま勝手に自白する真犯人…と関係者総出で支離滅裂な第3話の事件は、ひとつの事件としてはあまりにも矛盾にまみれ、しかもやけに法廷関係者の不道徳と怠慢が目立つという、疑問符だらけの仕上がりであった。
このエピソードは、『逆転裁判4』のシナリオにおいて重要な、逆転シリーズの独自設定「序審法廷制度 *5 」への切り込み役を担っており、後に続く第4話の内容次第では、多少(?)の欠点には目をつぶれたのかもしれない。

しかし結果的には第4話も、むしろ第3話以上に非難が集中した。詳細は後述。

最終話が一番盛り上がらない。
はっきり言ってしまうと盛り上がりは第1話が最高潮(その第1話も改めて見るとアレなところが多い)なのだが、そこで感じる面白さとは「これから先起こることへの期待によるもの」であり、この最終話で真相を知ってしまえば全て消え失せることになる。
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この最終話は、何よりも成歩堂が弁護士を辞めさせられることになった衝撃事件の全貌が明らかになることであり、壮大な物語として期待されたのだが・・・
そもそも、このエピソードの現代の事件は偶然発生したものであるが、その内容がお粗末。
判明する事件の背景が「真犯人が大昔に張って不発に終わった罠が今になって(しかもターゲットとは別の人間に)発動した」というかなりマヌケなもの。
この話では「裁判員制度」が試験運用されており、裁判員が事件の参考資料として事件に関連する過去・現在の出来事を「ゲーム」として追体験する「メイスンシステム」というものが登場するのだが…
このシステム内で起きるできごとは成歩堂の単独調査により作成されたものであり、大半は成歩堂が過去に担当した事件の解明に当てられている。成歩堂は最終話の真犯人に対する個人的な報復感情が疑われるため、意図的な印象操作や内容の改竄が加えられているように見える(少なくともその動機がある)。
また、システム内には「現代で得た証拠を過去の人物に突きつける」「超常能力である『サイコ・ロック』 *6 (現実には成歩堂以外には認知できない)を見せている」などの内容が含まれているため、再現性も客観性もない。
つまり、「メイスンシステム」には真偽が定かでない、正当性の認めがたい表現や証拠品が用いられており、「参考資料」と説明されても納得のいかないものになっているのである。
また、この「メイスンシステム」では一応本作の重要部分の全貌を明らかにするのだが、その重要部分のほとんどがラスボスと無関係なことばかり(正確には別の事件の真相探し)のため、全ての真相が明らかになっても一つに繋がらずにラスボスの印象が極端に薄くなるという珍妙なことが起こる。 *7
また、過去と現代を行き来して真相探しをしたとしても、「7年前の事件の被害者がなぜ自殺をしたのか?」「王泥喜やラミロアの過去の詳細 *8 」などといった肝心なことは結局明らかにされない。そのため、プレイヤーからすれば「成歩堂が或真敷一座の内輪トラブルに巻き込まれて、尻拭いをさせられただけ」としか映らない。
また、システム内では現代の証拠品を過去の人物につきつける事も可能だが、現代の証拠品をつきつける場面は一箇所のみ。しかもその証拠品は過去の場面だけでも十分手に入るというものである。
ざっくり言ってしまうとメイスンシステム自体無くても全く問題が無い構成となってしまっている。
この話の中核を担う「裁判員制度」自体が間違った(もしくは誤解を招く)描写だらけで参考にならない。
例えば、「法廷に備えられたカメラで別の部屋の裁判員(さらに全国に生中継している)に情報を見せているため、法廷内に裁判員はいない」のだが、この時点で本物の裁判員制度とはまるで別物。「判決は投票で行い、全員一致でなければ判決は下されない」というのも現実の制度とは異なる。
また、実物との乖離を除いてもこの裁判はかなり滅茶苦茶である。
大まかに言うと、『事件関係者でもある一般人が裁判員を選出』『その裁判員が同じく事件の関係者と選出者の知人』。一人で裁判の全てを取り仕切っているなど、それこそ無法以外の何物でもない。
そして最大の問題点が「裁判員制度」を導入した理由が「ラスボスを問答無用で有罪にするため」だったということ。「現行司法制度では手出しできない強敵を法の弱点を克服した新制度で迎え撃つ」という筋立てなのだろうが、やっていることが強引すぎる(後いかんせんラスボスがマヌケすぎる)ため、「あの男を倒すのにここまでする必要があるのか?」という印象を与えてしまっている。成歩堂に報復感情が疑われることや裁判全体に成歩堂の息がかかっていることを合わせるとこの裁判、「小悪党1匹を吊るし上げで有罪にするために、裁判を私物化した」ようにしか映らない。
このように、今作では「裁判員制度」を「証拠がなくても集団で追い詰めれば有罪にできる」システムとして描いており、本制度の宣伝どころか酷いネガティブキャンペーンになってしまっている。
本作発売2年前、法務省の会議において(現実の)裁判員制度の知名度向上の一環として本シリーズとのタイアップの提案が出されたことがあり、ファンからは前述のカプコン上層部によるシナリオへの要請との関連が指摘されている。真偽はどうあれ、誤解を招くような形で知名度を向上させられてしまったことは法務省にとってもいい迷惑だが。
もちろん、過去の作品にも現実の裁判制度と大きく違う部分がいくつか見受けられたが、それは分かりやすさや爽快感を重視して敢えて大げさに強調したものであり、ゲームとしては特に問題はなかった。しかし今作の場合、「所詮はゲーム」では済まない程の滅茶苦茶ぶりである。挙句説明書に本物の裁判員制度のサイトまで載せているため無視できない。
『1』で描かれた「学級裁判」のエピソードで成歩堂は小学生のころに濡れ衣を着せられたことがあったが、そこから何も学ばなかったのだろうか。
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弁護士である王泥喜の母親が裁判員の中に含まれている。それどころか、彼女は第1話でラスボスに殺された被害者の妻でもある。現実の裁判員制度において、事件の関係者やその親族が裁判員に選ばれることは当然ない。
成歩堂は「裁判員選別の時点では彼女は記憶喪失であり、実は親族であったとしてもそんなことは知りようがない。だから何の問題もない」などと言っているが、成歩堂自身がその事実を知っていた以上、詭弁以外の何ものでもない。それ以前に彼女は第3話の依頼人の保護者でもあるため、親族云々を差し引いても立派に事件の関係者である。
最終話にはバッドエンドが存在する。これは裁判の最終局面にプレイヤーが一人の裁判員の視点に立ち、被告人への判決として「有罪」を選択すると分岐する。
過去作のバッドエンドは「証拠品の提示の間違い」で発生するものだったが、今作では「意図的に間違った答えを選ぶ」という普通にプレイしていれば絶対に発生しない条件になっており、わざわざ入れる必要が感じられない。
しかもその内容は「プレイヤーのせいで全会一致とならなかったので判決が持ち越しになり、その間に被告人が死亡する」という一切の救いのないものである。
王泥喜の空気ぶりがあまりにもヒドイ。それに合わせてプレイヤーがやることも少ない。
真犯人の証言に対する王泥喜の尋問はたった1回きりで終了し、突きつける必要のある証拠品も少ない。しかも最後の証拠品を突きつけた後は勝手に話がどんどん進んで裁判長と検事がラスボスにとどめを刺し、最終局面を左右するのは裁判員制度(モドキ)。それまで王泥喜はほぼ見てるだけ。
このせいで王泥喜の駄目さに拍車がかかるだけでなく、話の流れで勝手にラスボスがとどめを刺され終了するためにラスボスの間抜けさと盛り上がりのなさも倍増してしまっている。これでは「逆転を継ぐ者」というタイトルの完全な名前負けである。
ついでに言うと、王泥喜自身も台詞がかなり少ない。自分の未熟さを感じているため言葉を発しようにも発せなかったと説明しているが、その場面で何か言葉を言ってみてこそ「熱い主人公」ではないのだろうか。
本筋からは外れるが、被害者のアトリエにある絵画の下に隠された絵について。
王泥喜が扱った事件(第1話から第3話の事件)を象徴する絵が描かれており、被害者が実は(結果的に成歩堂の弁護士資格剥奪を手伝ってしまったという負い目から)成歩堂法律事務所のことを気にし常に情報を集めていたことが語られるのだが、外出するのが嫌いな被害者がその情景をどうして知ることができたのかさっぱり分からない上に、第2話・第3話の事件に関しては(確かに事務所が絡んでいる事件ではあるものの)成歩堂はほぼノータッチだったはず。
第1話のOP冒頭の絵描きの姿やOPの絵柄がデッサン風なのが一応伏線になっていたのだが、特にストーリーにも絡まず、思わせぶりなだけの無意味なものになってしまっている。
「逆転裁判」というゲームは、全シリーズを通して「謎・矛盾を暴く快感」「絶体絶命の局面から大逆転し、真犯人・ライバル検事などを打ち倒す・見返す爽快感」といったものが最大の売りなのだが、本作にはそういった「売り」がほとんどない。本作のキャッチコピーは「嘘を暴く快感」だというのに。
逆に「見せ場・美味しいところを脇役にほぼ全て取られる屈辱感」、「大半の謎・矛盾が明らかにされずに勝手に物語が終わる消化不良感・不快感」などといったマイナス面ばかりが目立つ結果となってしまっている。
初回クリア時に感じるのはまず「違和感」又は「よくわからない肩透し感」だろう。
その感情に基づいて確認するように2周目…3周目…と繰り返す内に続々綻びが見え始め、最終的になんとも言えない残念な気持ちが残る。

キャラクター

今作に登場するキャラクターには新人弁護士の主人公を始めほとんど成長する描写が見られない。
それどころか、元弁護士が犯罪を平気で犯したり、検事が職権濫用や職務上必要な義務に反したため事件の原因の一端を担ったりと倫理上問題のある描写が多い(しかも本筋の事件以外ではそれが作中で指摘・追及されることがほとんどない)。
そして何より、前作からの続投キャラが軒並み改悪されている。
ADVというジャンルでしかも人気シリーズの一作という関係上、キャラクターは重要な要素の一つであり、今作の問題点の一端を担っているのは間違いないだろう。
詳細は以下を参照。(続編を含めたネタバレ要素が多めなので注意!!)
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主人公・王泥喜法介

期待の新主人公。第1話が法廷デビューとなる新米弁護士。

キャッチフレーズは「天啓の大音声」。本人も認める数少ない取り柄なのだが、声が全てポポポ音 *9 の『逆転裁判』シリーズでは声が大きいということは全く伝わらない。
本来ならわざわざ取り上げるまでもないことなのだが、設定でも作中の描写でもこれ以外に取り柄や見せ場が無い為、目についてしまう結果となった。
しかも、その長所の数少ない出番もネガティブなものばかり。初っ端から「発声練習をしすぎてまともに声が出なくなった(第1話序盤の会話にて)」…という活かす気すら疑われる形で呆気なく終わり、以降ほとんど話題にも上らない。
一応、その後も「つきつける」に失敗した際、裁判長に声が大きいと苦言を呈されるなど、声の大きさをネガティブに強調される場面もあるにはある。…が、取り柄のハズなのに悉く仇にしかなっていないというのは如何なものか
プレイヤーの分身なのに、いいところが少ない。彼を放置して周囲が勝手に話を進めてしまう場面も多く、存在感がどんどん薄くなっていく(特に第1話と第4話)。
成歩堂やみぬきはまだしも、ライバルの牙琉にまでフォローをしてもらわないと前に進めない場面が多く、主人公としての活躍を見せる場面が全く無い(おいしいところは牙琉らに奪われている)。時には探偵パートで提示された疑問すら挙げずにヘタれて有罪判決になりかけたケースすらある。序盤はまだ仕方ないとしても、最後までこの調子なのでどうしようもない。
知らなかったとはいえ、最初の裁判で捏造証拠を使い勝利するという、主人公としては致命的な汚点が存在する。事実を知った時は衝撃を受け、加えて自分にこんなことをさせながらどうしようもない態度の成歩堂を殴っている。が、不可抗力だからかその後は特にお咎めや気にする様子もない。本作の成歩堂の数少ない良心と言えなくもないが。
そして、彼の存在感の薄さは最後の最後までそのままだった(存在感を見せたといえるのは第3話の法廷パート2日目くらい)。
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最終話は現在と過去の裁判、そしてメイスンシステムによって真実を解き明かしていくのだが、王泥喜が登場するのは1日目の探偵と現在の裁判だけで後は成歩堂を操作するため出番が少ない。他のエピソードで言うところの探偵パート2日目に丸々出番がないと考えてもらえば分かりやすい。
特に『4』の中核を担う過去の事件の真相については、独力で調査を行うでもなく「ゆうべ、成歩堂さんから聞いた」の一言で済まされ、王泥喜自身は事件の真実の全容に達していない。これで主人公なのか?
さらに、ラスボスにとどめを刺すのは検事と裁判長、最後は裁判員と徹底して魅せ場を奪われる。
エンディングでも特に何かするわけでもなく、シリーズのお約束であるスタッフロール前の「異議あり!」のシーンは1人で行う発声練習。しかも背景絵の無い真っ暗な中と、最後までまともに相手をされていない。
ラスボスを追い詰める場面でさえ「自分は毒を仕掛けたが、仕掛けが発動したのは君たちが追い詰めた結果だ」と言った感じの詭弁(というか屁理屈)にすら納得して押し黙る。言い返せよ…。
ラストのモノローグで本人も語っているが成長する描写こそあれど、最後まで弁護士として成長することはあまりなかった。最終話は「逆転を継ぐ者」というタイトルなのに、「発想の逆転」「ピンチの時こそふてぶてしく笑え」といった前シリーズのお馴染みのフレーズすら出て来ず、全く逆転を継げていないのであった。
公式設定である「熱い性格」がことごとく空回りしている。
初登場時の成歩堂より年下という以外に成歩堂と大差がなく、アツさが感じられない。熱血的な言動を取るシーンもほとんど存在しない。
前述の「どうしようもない態度を取る成歩堂を殴る」という場面が唯一熱い面を見せる場面である。しかもこれですら、キャラクターデザインの塗和也氏が「これじゃ全然熱いキャラじゃない」と進言するまで存在しなかった。これすらアツい…というよりは当然の範疇で、特別熱血漢らしさが現れているとは言いがたい。殴られた当人も反省どころか堪えている様子も無い為、尚更空回り感が強い。
シリーズのシナリオを担当するディレクター・巧舟氏のキャラ造形の弱さについては過去の作品からしばしば指摘されることもあったが、彼はそれが一番悪い形で表れてしまったと言える。
他人(パートナーのみぬき、ライバルの牙流を始め様々な人物)からナメられることが多い。
というか、作中で彼をナメていない人物の方が少ない。依頼人すら彼のことを最初から信頼してくれる人がいない。いくら新米弁護士とはいえ、あんまりである。
しかもそういった人物のほとんどが王泥喜に対するそのような態度をフォローすることがない。
見ていて爽快感のあるアクションがなく、パッとしない。
重要な「持論を展開して検察側を攻撃する」際のアクションが、モーション・表情とも地味。
おなじみの「指さし」は、堂々としていた成歩堂や千尋など前作以前の人物と比べると姿勢が控えめで、しかも肩幅が広めな成歩堂より小柄で細身なデザインなので余計控えめに見える。
「机叩き」は掌で叩く成歩堂との差別化ということでグーで叩いているが、これもあまり動きが大きくないので大差なく見えてしまう。
やられモーションではひとしきりのけぞった後、鼻の下が異様に伸びる。表情のインパクトは強いが、「水木しげるのマンガみたいな顔」「主人公の表情じゃない」などとも言われ賛否両論。
次回作である『5』にもこの表情が持ち越されている。
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過去に関する話がほとんど出てこない。そのためなぜ弁護士になったのかも不明。
劇中でわずかに語られる内容からすると、父を亡くし母とも引き離され、肉親を両方失った環境で育つというかなり複雑な境遇のはずなのだが、最終話でそのような事情がわずかに示されるだけで話の核にそこまで深く関わるわけでもなければ、彼自身もそのことについて何も言及することがない。
また、みぬきとは父親違いの兄妹であることが明らかになるのだが、そのことが作中で生かされることはない(というよりも双方が知る場面が無い)。それどころか、EDではみぬきに「大きな弟ができたって感じ」と最後の最後までバカにされる始末である。
最も、これらは次回作への伏線とも捉えられなくもなく、実際『5』において過去の話が僅かながら語られ、『6』では生い立ちが全て明かされる事となった。
とはいえ、『5』においての過去の話や『6』においての生い立ちには全く伏線がなかったので「後付け感が強すぎる」という批判も無くは無いのだが…。
少なくとも彼が自ら問題を起こすことはなく、鼻につく言動や非常識な行動が殆ど見られず、問題児ばかりの本作において数少ないまともな人物ではある。
が、残念ながら性格やキャラ付けなどがとことん薄く、特徴がゲームシステムと噛み合うこともなく、ひたすら地味。もっと言えば、主人公なのに成歩堂や牙琉ら脇役の噛ませ犬的ポジションに追いやられている。
新シリーズの看板を背負った主人公としては落第レベルであった。
続編の『5』では本来のアツい性格が正しく生かされ、彼の過去も断片的に語られる事を皮切りに、『6』では過去のエピソードが本格的に掘り起こされ、実質的に成歩堂との対決シーン等もあり、名実共に「熱血主人公」に相応しいキャラに成長した。シナリオ自体の評判も良く、現在では「主人公(笑)」の評価は完全に過去の話となっている。

新ヒロイン・成歩堂みぬき

成歩堂の娘(養女)。天才的なマジシャンで、中学生ながら成歩堂家の収入を支える大黒柱である。第2話以降、王泥喜の助手として捜査や裁判に同行して手助けする。はずなのだが…

基本的に王泥喜を信頼していない(ようにしか見えない)。王泥喜よりも成歩堂や牙琉の方を誉めることが多く、王泥喜のことはむしろ小馬鹿にしている。
前作ヒロイン・綾里真宵にも似たような傾向は見られたが、彼女は弁護士としての成歩堂を強く信頼しており、幾度となく(時には我が身を犠牲にして)成歩堂を助けてくれた。
また、真宵や宝月茜は霊媒師/科学捜査官という設定を活かして手助けをしてくれたり、被告人にされたり過去の事件の関係者だったりと物語に緊迫感を与える役目も果たしていたのだが、みぬきにはそういった要素は皆無である。『1』での第2話のような王泥喜への信頼が決定的になる描写でもあればまだいいのだが、そういう話もまるで出ない。このため口の悪い部分や人を小馬鹿にしたような態度はさらに目立っている。
牙琉ほどではないものの、彼女も自分で話を勝手に進めて王泥喜の見せ場を奪うことがある。その最もたるものが、第2話の法廷パート1日目のとあるシーン。勝手に証人をどんどん追い詰めて、王泥喜はただ横で驚くだけ。
第2話では動けなくなった成歩堂の減収分を補うため王泥喜を呼び出すのだが、仕事を引き受けると親子そろって「釣れた」とのたまう。ほとんど初対面どころか、(師匠の自業自得とはいえ)師匠(職場)を奪い、弁護士資格剥奪の危機に合わせた相手に仕事を頼んでおいて、面前でこんな発言をするとは。
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最終話(過去)と第1話で捏造証拠を渡した張本人。その結果成歩堂は失脚し、王泥喜も一歩間違えたら同じ目に遭うところだったのだが、みぬきは特にお咎めなし。まだ幼かった過去パートならまだしも、現代パートでも罪の意識などは微塵も感じていない。
そして、良くも悪くも彼女がストーリーに深く関わるのはこれだけである。
マジシャンという設定はシナリオそのものには関与するが、作品中で事件の調査や弁護活動に生かされることはほとんどない。
第2話で「マントに仕込んだ手品用の人形を使って人質に取られたふりをして休廷を要求」というのが作中で唯一手品を王泥喜のために活用した場面。やり口があまりに強引であり、バレたら間違いなく法廷侮辱罪を食らっているところで、実際王泥喜からも怒られている。
ただ、この場合においては「どうしようも無くなり困り果てていた王泥喜に助言するための時間稼ぎをするため」という、王泥喜のためを想ってゆえの行動のため、彼女の心情を汲み取る見方もある。
しかし、この手品は7年前の裁判で父親のザックが法廷から脱走する際にその手助けとしても使っており、悪用しているだけなのも事実。
それどころか、第3話であるマジックの種を解く際には「みぬき、分かっちゃいました!」と言いながら王泥喜には「教えてくれ」と頼まれても教えないし、ヒントすらくれない。他人に教える気が無いなら最初から黙ってろと言いたくなる事請け合い。
その直前に王泥喜がトリックの一部を解明した際には「種明かしは魔術師としてルール違反ですよ!」と王泥喜を叱責する(王泥喜は「オレは弁護士だから」と一蹴)始末。魔術師設定が足を引っ張っている。
ちなみに、シナリオ担当の巧氏は大学時代にマジックのサークルに所属し、カプコン入社試験で特技として手品を披露したというマジック好きとして知られており、「マジシャンにとってマジックの種を勝手に暴くのは最大のタブー」という描写を入れたのはその経歴からくるこだわりなのだろうが、悉くシナリオの展開の足枷にしかなっていないというのは…
一応、王泥喜に証人のクセなどを「みぬく」能力があることを気付かせた人物なのだが、「みぬく」の評価は後述通り。故にそのことでみぬきが事件解決に一役買ったとは言い難い。
こうしてほとんど役に立たない身でありながら、そういった自分の在り方に疑問を持つことも、王泥喜の足を引っ張ることへの負い目を感じる描写も無いので、ますます印象は悪い。前述の種明かしの阻止もあって、単なる自分勝手にしか映らない。
メイスンシステムでは(成歩堂が資格を剥奪され「法律事務所」を名乗れないとはいえ)事務所について「華がない」「法律ってカタい」「学校で友達ができなくなる」と言い放ち、千尋から受け継いだ事務所を芸能事務所へと作り変え所長の座についた。そうして出来上がった事務所が小道具で埋め尽くされ散らかりまくっていることや、第2話での「未だに法律事務所と間違えて依頼してくる人がいる」という発言もあり、旧作ファンの一部からは「いきなり登場したキャラのくせに、千尋が強い信頼を以て成歩堂に受け継がせた事務所を、身勝手な理由でぶち壊しにした」と(成歩堂ともども)強い批判を浴びる羽目になってしまった。
挙句、エンディングでは失踪した父親の真意を最初から知っていたとのたまう始末である。
そうなると、前述の理由もあって成歩堂が弁護士をクビになった事件に、わざとではないにしろみぬきも加担していたことになることだけで、彼女の心情を表す描写などはほとんどないため結局はマイナスにしかなっていない。
おそらく、みぬきを「肉親の不幸にもめげずに、強く気丈に生きるヒロイン」と描写しようとしたのであろうが、完全に裏目に出てしまっている。
成歩堂が涙を流すみぬきを回想するシーンがあり、明るく振舞う表の顔とは裏腹の弱い一面もあると分かるのだが、成歩堂一人の回想に終わり特にストーリー中で掘り下げられることもない。
結局彼女は以上の自らの行いについてろくに反省や自覚をすることがなく、それを周囲が戒めることもほぼないため、当然人間として成長する描写も皆無である。結果として最後の最後まで印象が悪いまま終わってしまう。前シリーズの真宵や春美、茜などのヒロインとは完全に真逆である。
ザックや成歩堂といった少々、というかかなり人間として問題のある大人を見て育ってきたため、他者に頼らず独自の力で生きようとする人格が物語開始時点で形成されてしまい成長の余地がなかったとも考えられる。
以上のように、単純に「守られる」キャラクターとしては彼女個人が危機に陥る場面(およびプレイヤーに「守りたい・助けたい」と思わせる描写)は皆無、「協力してくれる」キャラクターとしては魔術師設定や自分勝手な性格が足を引っ張るばかりで役に立たず、キャラとしての魅力が非常に薄く、寧ろ「いっぺん痛い目を見て懲りろ」とすら思わざるを得ない印象すら拭えず、彼女もまたヒロイン失格といえる。
続編である『5』でもあまりフォローはされておらず出番もチョイ役程度にまで減らされており、再評価は『6』(『4』の発売から9年後!)まで待たなければならなかった。そちらでは本作の問題行動についてフォローがなされ、王泥喜との絆が描かれており好評となっている。

ライバル検事・牙琉響也

第2話から登場。検事でありながらロックバンド「ガリューウエーブ」のボーカルをつとめる。成歩堂失脚の関係者であることが示唆されており、王泥喜のライバルと位置づけられている。

その割には王泥喜とプライベートで馴れ合ったり、何度も助け舟を出したりと協力的な姿勢を取る。
特に法廷では何度も詰まる「おデコくん」をフォローする言動が多く、「みぬく」で王泥喜が証人に言いがかりをつけても反論を行わずにそのまま進めさせる。
第2話では王泥喜の思考を完全に先回りしており、真犯人にトドメを刺すための最後の手掛かりについて露骨にヒントをくれるサービスぶり。仲間ならともかくライバルにここまでヒントを出されるというのは、プレイヤーによっては屈辱的とすら感じるだろう。結局、終始この男の掌で踊らされていただけという印象すら感じられてしまう。
旧作の検事の中には通常の尋問さえ「不当な言いがかりである」と牽制していた者もおり、いずれも成歩堂の「敵」としてのスタンスを貫いていた。証拠もない「みぬく」システムは、この男が反論せず好きなようにやらせているから成り立っているものであるため、異様な不自然さが残る。
旧作の検事たちは信念・私怨などそれぞれの理由があって「何が何でも勝つ」という姿勢で立ちはだかる強敵として描かれてきたのだが、牙琉は常に飄々とした(悪く言えばいけ好かない)態度を取り、ダメージを受けた際のリアクションも、冷や汗を流したり頭を抱えたりする程度とインパクトが弱く、敗訴してもこの余裕ぶりで爽快感も何もない。
というのも、牙琉は法廷を「検事と弁護士の戦いを通じて真実を追求する場」とみなし、勝ち負けにさほどこだわらない性格をしているためである *10 。というと聞こえはいいが、実際には「副業のバンドのライブがあるから裁判を早く終わらせろ」と言ったり、王泥喜が新米で反証できないことをいいことに無実の被告人をメチャクチャな屁理屈でそのまま有罪にしようとしたりと、検事としての資質すら疑われる場面も見られている。それでいて、王泥喜が真実を明らかにしていくと「その程度のことは最初からわかっていた」ような言動をとるためタチが悪い。これでは、「バンドが本業で、検事は趣味」としか映らない。
こんな調子であるため、「バンドのボーカルを兼業するビジュアル系のイケメン」「涼やかで軽い性格だが、(前述した)信念には忠実」といった設定が、後述の問題点と合わせて鼻についたり矛盾していたりする。
さらに、自らの軽率な(しかもほとんど犯罪同然の)行いで成歩堂失脚を含めた様々な事件を起こしている。
もちろん、過去作の登場人物の全てが潔白だったというわけではなく、ほとんど犯罪同然の行いをする者さえいた。しかしそれらはほぼサブキャラで、その行動は本筋には関係ないところだったり、重要な手がかりを持っていたりするため、ギャグとして流されたりある程度同情できるような理由が示されたりしていれば大方のファンからは流されるような要素であった。主要キャラにしてもあまりに大きな問題は周囲から咎められたり、処分を受けたりしている。牙琉の場合タチが悪いのは、彼が「ライバルキャラ」という主要人物であり、その行動が事件の本筋に関与(というか、発端でさえある)していたり、理由についても同情できる余地がほぼなく、そのうえ劇中でも明らかにギャグ扱いされない(できない)ものがほとんどだということである。そしてなお悪いことに、主要人物もサブキャラも傍聴人も誰もそれを咎めない(しいて言えば王泥喜が非難や皮肉のこもった発言をする程度)。さらに言うと、一つの作品で一人のキャラがやらかしている問題の数としては多すぎる。
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自分の初裁判において「正々堂々と戦いたい」という理由で、当初担当弁護士であったラスボスに証拠品や捜査情報を許可も予備審問も無く開示してしまう(守秘義務違反)。結果、ラスボスに証拠を捏造する機会を与えてしまった。
どうしても「正々堂々と戦いたい」のであれば、判事立会いのもと予備審問を行えばよい話(実際に『2』の第1話では裁判の前日に予備審問が行われている)である。これぐらい検事として知っていて当然のはずなのだが。
そして、実際の成歩堂との対決ではどうしたのかというと、成歩堂が更なる調査のため審理の延期を望んだところ、被害者の手記を持ち出し「文面から判断するに、被告人が去った後も生きていたなら続きを書いたはず。でも続きはないから被告人が殺害した以外ありえない」と決めつけ、破られている続きのページを放置して、成歩堂にこれを覆す証拠品を出せと迫るはっきり言って、破れた痕跡について指摘すればそれを調べるのは言うまでもなく証拠を出した検察側なので、それだけで審理の延長を求めることが可能なのだが、それについては「この手記そのものを提出するのはナシにしてほしい」「ここまで来たんだから決定的な証拠で示してもらいたい」と指摘することすら勝手な理屈で拒否する。さらに進むと実際は気づかなかったのではなく件の捏造証拠を出させるためにわざと放置していたことが判明し、とどめと言わんばかりに(弁護側が提示した解決していない疑問があるにもかかわらず)「弁護人が捏造証拠を出した以上、被告人が有罪判決で償うべき」と屁理屈で有罪判決を要求する。 どこが「正々堂々」で「真実を追い求めるスタンス」だ。
なお、この行動をとる直前の牙琉の発言は「証人は自分が思ったほど決定的ではなかったから(むしろ、現場を工作して被告人に罪を着せようとした疑いを持たせてしまった)、証拠品という別のルートで立証する」というものだが、その実決定的な証拠と呼べるものは何一つ提示していない。
この男の滅茶苦茶な要求を認める裁判長も大概である。
ちなみに、その証拠品を開示した相手(ラスボス)は実の兄。しかも赤の他人である成歩堂には前述通り卑劣な手口を使っているので、「正々堂々と戦おうとした」のではなく、「単に兄弟で馴れ合った」としか感じられない。
第3話にて、自分が出演するコンサートで殺人事件が起こったのにライブ中にミスを犯した人間を探すことに躍起になり、事件の調査を全く行わない(はっきり言ってしまうとこの時に牙琉が動いていれば、状況的に犯人をすぐ割り出すことが出来た)。それどころか調査中の王泥喜にその仕事を手伝わせる。さらに王泥喜が被害者のメッセージを聞いた際もその話に取り合おうともしなかった。
上記のことを王泥喜に非難された際の台詞が「僕は自分が必要と思う調査は全部やる主義だ。何も知らない新米の君にとやかく言われる筋合いはない」。どの口でそれを言うか。
同話にて、子供を状況証拠だけで犯人にする。
上記「第3話の問題点」を参照。このような「証拠も証人もいないのに検事が犯人を仕立て上げる話」があるのは『逆転裁判』の歴史の中でもこの話だけである。
上記の通り劇中で「上からの指示」によるものだということを話しているが、特に「上」に反発したという描写はなく、それをわざわざ事務所に出向いて真剣な様子もなく言う。「真実の追求」はどこへ行った?
さらに、この話で牙琉の執務室に向かうと、ある場所を調べたときに彼が今回の事件以外にも複数の事件を同時に担当していることが判明する。しかし今回の事件は「上」から早急に解決することが求められている事件であり、そこですでに述べたように今回の事件への対応があまりにいい加減となると、他の事件にかまいすぎて本筋の事件にきちんと対応できていないとさえ感じられる *11 。ここのテキストだけ見れば優秀な検事に見える(王泥喜も牙琉の仕事ぶりに唖然としている)のだが、他の要素とつながっていないため裏目に出ている。
さらに同話、捜査の証拠を運搬するための運送ルートを私物(第3話の証人・ラミロアに譲ってもらった思い出のギター)の運搬に使用していたことが判明(職権濫用)。しかもそれを密輸に利用されていたことまで判明する。
第3話の事件の概要は「密輸に気づいた被害者が口止めのために殺害された」というもの。つまり、この男の職権濫用が密輸の機会を与えただけなく死者まで出したというありえない話なのである。
さらにこの密輸で運ばれた品物は国際警察が世界レベルで取り締まっているものであり、司法長官の関与までもが疑われる大事件であったのに、この男の責任については一切言及されない。
それどころか、この男は罪の意識など欠片も感じていない。むしろ自分の私物を密輸品のやりとりに利用され、さらにそれを証拠隠滅のために燃やされたことに逆ギレするという始末である。
その密輸と容疑者に関する疑惑も放置されっぱなしで、ツッコミどころが多い。
国際警察の一員であった被害者は前述した牙琉の不正行為に気づき、牙琉の私物を調べる目的で潜入捜査を行っていた。つまり密輸犯として一番疑われていたのは牙琉であり、発覚すれば密輸の第一容疑者になるのも牙琉である。
このことについては、被害者が牙琉のキーホルダーを持っているなど最初から匂わされているのだが、何故か牙琉が容疑者候補に挙がることはない。少なくとも、真犯人と牙琉は親友関係にあるため、協力者として疑われてもおかしくないのにそれすら挙がらない。
なお、最初の尋問の際にこのキーホルダーの話が出され、裁判長から「それではあなたが犯人ということになるではないですか」と言われるが、これについてはこの時点では密輸の話は出ておらず、加えて推測される犯行時間の状況から牙琉にはアリバイがあったと見られたため殺人の容疑者候補は免れている。が、その後密輸の話が出てきてもその実行犯が牙琉であった可能性は全く指摘されない。
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自分がたどり着いた真実であれば、たとえ親友や身内が真犯人であろうとも容赦なくとどめを刺す。それそのものは問題ないが、彼の場合本当に無情。
第3話では自らの親友(作中に何度も牙琉への信頼を感じさせる描写がある)が殺人犯であったという事実に全くショックを受ける様子もなく(初めて彼に対する疑惑を知った際には頭を抱えており信じられないといった態度だったが、翌日の法廷ではすっかり普段通りに戻っている)、淡々と「君があんな簡単な演奏をミスする訳がない。肩を痛めていたからミスしたんだ。君が犯人だ!」と実に爽やかな笑顔で言い切る。
第4話、最終局面では自分の兄を糾弾し、裁判長と共に引導を渡す。兄を追い詰めることに対する戸惑いや彼に複雑な感情を抱いている描写はいくつかあったが、判決以降は全く話題に挙げることがなく、フォローなし。
従来シリーズのライバル検事(御剣、狩魔冥、ゴドー)は全員、身内や親友に対する苦悩や葛藤を抱え、それが検事としてのスタンスや成歩堂への対抗心として表れていた。この男の場合、親友や兄の設定が王泥喜への対抗心や今の検事としてのスタンスに繋がっていることはなく、結果に至るまでに悩む姿を見せていても、真実にたどり着いた後はバッサリ切り捨ててしまう。
最終話では、「法の抜け道を探したアンタが『法が絶対』と言うのか」と兄の言い分をバッサリ切り捨て、裁判長とともにとどめを刺した。一見すると成長したように見えるが、7年前の自分の軽率な行動が事件の発端の一部であることに反省は全くなく、しかも前述した第3話での暴挙の数々(7年前と同じく義務違反や職権濫用という軽率な行動による)も何も咎められずなので、「成長した」と言われても説得力皆無である。
さらにこれは本来、主人公である王泥喜がやるべきことである。最後の最後まで主人公の見せ場を奪っていく。とどめを刺すのが王泥喜で、かつエピローグに登場してラスボスについて言及する描写があれば前述の問題も合わせ解決していたのだが。
王泥喜同様、彼も過去についての描写がほとんどない。7年前、デビュー戦で成歩堂と対決した以前のことは全く明らかでない。
「なぜ検事を目指したのか」、そこをさておいても「何故今のような真実を追求するスタンスになったのか」といった重要な設定について、『4』の時点では何一つ語られず、続編の『5』でようやく理由が明かされた。
現代における彼は検事として7年のキャリアがある(『3』時点での御剣や狩魔冥より上)ので、その間に何かあって今のスタンスになったと思いきや、デビュー時点の17歳で今のスタンスである。それ以前に何があったのか、それについては語られない。御剣が長い時をかけ、成歩堂とのハードな戦いの果てにやっとたどり着いた答えに、まだ高校生ごろの彼がなぜ到達できたのか一切語られず、そればかりか既に検事として完成されているような扱いを受けているのは余りに不自然だし、非常に薄っぺらい。おまけにやることなすことが前述通りデタラメなので、ただの口先だけにしか見えない。
実の兄であるラスボスについてもほとんど話題が出てこない。兄と並んでいる機会は最終話の最後の法廷パートのみ。他の話や探偵パートなどで兄についてほとんど触れることがない。
最終話での兄との会話から兄をそれなりに慕ってはいたようで、対する兄も丁寧に弟を諭す描写を見せているが、兄に対して萎縮することはないし兄への疑惑が確信に変わった後はむしろ躊躇なく攻撃する。社会的な立場も思想も真逆なこの兄弟の関係については断片的にしか描かれず、王泥喜のような家族全体をめぐる境遇の描写さえない。
この兄弟設定が話の核心に関わっている部分は「弟が兄と馴れ合ったために成歩堂が失脚した」これだけである。
エンディングではバンドの解散を発表するが、その理由は「今回の法廷はステージ以上にスリリングだったから」というもの。「本業がおろそかになるから」とか「第3話・4話での職権濫用の数々を恥じたから」「自分や他のメンバー(3話の真犯人)が不祥事を起こしたから」などでは断じてない。
余談だが、大人気バンドのメンバーが重大な不祥事を起こしたというのに、世間で大々的に報道されたという描写は一切無い。EDでは牙琉が「解散を発表したら、ファンが大いに悲しんだ」らしき言葉を語るが、自分を含めたメンバーが国家レベルの重大な事件を起こしたことよりも、バンドの解散を取り上げてること自体も根本的におかしい。
誤解のないようにいうが、彼の性格の根幹自体は別に悪人ではなく、むしろ王泥喜に協力し真実を明かそうとする姿勢そのものは善ではある。
しかし自らの軽率な行動でいくつもの大事件を起こし、さらにそれに対する反省もろくにしないことから、ライバルや検事として以前に社会人として失格である。
むしろ本質が悪人ではないからこそ、数々の暴挙のひどさと信条との矛盾がより際立っているとまで言える。
また、その協力的な姿勢故に張り合いがなく倒しがいが無いとも言え、過去作のライバル検事に見られた、「倒すべき敵・悪役」というキャラすら立っていない。
デザインや前述の王泥喜をフォローする姿勢、自業自得の面もあるとはいえ、身内の相次ぐ逮捕などのなにかと不憫な目に遭うというネタキャラ的な一面などを支持するファンもいないわけではないが、ここまでに述べた問題を看過できないファンからは「爽やかキャラを気取ったただの下衆」と最悪の評価に終わってしまっている。
さらには、この男をやたら持ち上げて特別扱いする開発陣に対しても多くの批判がある。
『5』ではチョイ役にまで落ちたが、こちらの捜査にも協力的でありこの部分については好評。むしろこっちの方が適役と言われている。『6』に到っては回想と早期購入おまけDLCのみの出番とかつてのライバルとは思えないほどの扱いとなり、王泥喜とは完全に真逆の末路となってしまった。
中途半端に協力的な姿勢故に「主人公のライバル」というポジションを担うには弱いキャラクターだと公式にも判断されたのだろう。とはいえ、『6』での扱いに関してはさすがに不評意見が多い。

ラスボス

過去の事件の黒幕として成歩堂と対決するのだが、その人間性や言動・行動はあまりにもショボい。

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その正体は牙琉響也の兄・牙琉霧人。裁判長曰く「現在の法曹界で最高の弁護士」で、王泥喜の師匠でもあった。

殺人の動機は「依頼人に担当弁護士から外され、プライドを傷つけられたことへの逆恨み」というもの。
たった一人の依頼人から依頼を取り消されただけで傷つくとは、なんともちっぽけなプライドである。
法に対する(捻じ曲がった)思いは描かれるため、「その程度のことで殺人を正当なものと言い放てる精神には恐怖を感じる」という見方もある。ラスボスとしての貫禄はさておき。
ラスボスなのにプロローグにあたる第1話の犯人として捕まる。しかも最終話になるまで自分から外に影響を及ぼすわけでもなく服役している。
独房にはやたら私物が多く、豪華なためVIP待遇を受けているように見えるが、刑務所内の作業にはしっかり参加させられているという微妙な情けなさ。
後述するように最終話の事件の発生は偶然で、それを早めるために何かしたわけでもないし、逮捕されたことをそこに生かそうともしていない。
設定的にはかなりあくどい人物とされているのだが、個々の行動があまりにもマヌケ。
依頼人とのポーカー勝負で負けたために、裁判前日になって担当を外される。
実際には「依頼人は勝負を通じて人間性を見ていただけで、勝敗は関係ない」と説明されるが、その依頼人の人間性が最低なうえ、成歩堂の方は勝っているのでその言葉に説得力はあまり感じられない(まあ実際、ラスボスの人間性も最低なのだが)。
贋作師に依頼して作成した捏造証拠を使い、後任の弁護士となった成歩堂を陥れる(最終話・過去)。
しかも最初にその捏造証拠を使おうとしていた相手は、その事件が検事としての初仕事であった実の弟。
捏造証拠を作った贋作師などの関係者を場合によっては始末しなくてはと7年間ストーキングする。
中でも捏造証拠を作った少女に対しては、殺害するためにさまざまな罠を仕掛けていたことが判明するのだが…。
依頼書に毒を塗った切手を仕込み、切手をなめさせて殺害するという方法を取ったのだが、人気マジシャンの記念切手だったせいで使われずに飾られてしまう(この切手を記念切手にした理由も語られていない)。そして7年後に少女の父親がそれをたまたま使用して死亡する。余計なことをしたばっかりに7年ごしで真相がバレることに。
今度こそ少女を殺害するために、爪を噛むクセがある彼女に毒入りマニキュアをプレゼントするが、自分が愛用しているかなり特殊なブランドのものをご丁寧に小瓶ごとそのまま使ったせいで弟に一発で気づかれる。おまけに、独房にも同じ物を持ちこんで堂々と使っていたため、成歩堂にも気づかれる。
元依頼人を始末して成歩堂に罪を着せようとするのだが…(第1話)
裁判中に比喩表現を用いたキザな台詞を度々口にするが、そのいずれもが当人が知るはずのない現場の状況と一致しており、その結果逮捕される。さらに「7年前の復讐」と口を滑らせたせいで、過去の事件との接点を成歩堂に気づかれる。
「隠し通路の中で機会をうかがっていた」と説明されているが、被害者が1人になったのは全くの偶然。つまり、この男は来るかどうか分からない機会を非常に寒い隠し通路でただじっと待っていたことになる。
そもそも復讐をしたいのなら、被害者は指名手配されていたのだから警察に通報すればよかったのである。わざわざ殺人を犯したせいで逮捕され、弁護士資格を剥奪される羽目になった。ただ、これに関しては復讐でなく口封じが目的であったのなら、わざわざ自身が殺害を決行したこともいくらかは納得がいく。(何を口封じするつもりだったのかは謎のままだが…)
最終法廷での壮大な自爆(最終話)。
第1話では成歩堂が捏造証拠を(王泥喜経由で)提出しようとしたところ、それを阻止したことがきっかけで真犯人であることが確定してしまう(提出した証拠を調べるまでもなく捏造と断言できるのは、捏造した張本人を除けば真犯人しかいないため)。それだけならいいが、最終話の法廷でも全く同じ行動をとってしまう。まるで成長していない。
証拠が不十分で起訴できない状態だったのに自白してしまう。
事件に裁判員制度が導入されていることを知らされたにも関わらず、裁判員たる市民のことを見下す発言を連発し、その一部始終を全国にテレビ中継される。
挙句の果てにそれを仕切っていたのが成歩堂だと知らされるや盛大にブチギれるが、弟検事と裁判長に発言をバッサリと切り捨てられる。
真犯人なのにプレイヤーがとどめを刺せない。
過去作では真犯人を告発することで被告人の無罪を証明してきたのだが、今作ではこの男の犯行を直接立証することはできず、被告人の無罪のみを裁判員制度で勝ち取る。最後の最後でとどめを刺せないのは犯人失格であるし、ゲームそのものの根幹に関わる。
王泥喜の師匠であり、彼が心から尊敬していたという優秀な弁護士のはずなのだが、第1話で早々にいなくなってしまうのでそういった印象が限りなく薄い。
この問題は第1作『逆転裁判』の開発段階でも発生しており、成歩堂の師匠・綾里千尋が殺害されるエピソードは当初第1話に入れる予定だったが、「これでは感情移入ができない」という指摘があったためそのエピソードを第2話に回し、チュートリアル的な第1話を作ったという逸話がある。ずっと昔に思い止まった過ちをなぜここに来て犯すのか。
消化されない謎を抱えている。それはメイスンシステムで登場する解除不能の「黒いサイコ・ロック」(通常は赤)。
他のサイコ・ロックは物語内で全て開錠されるのだが、これだけは手つかずのまま物語が終わる。メイスンシステムはフィクションと成歩堂の主観が混ざっている部分もあるため、そもそも「黒いサイコ・ロックは存在するのか?」という疑問もあるのだが、あったとしても「殺人の動機」を聞くとあらわれるため、「依頼人への逆恨み」としか説明できず、たいそうな演出の割に隠していることがショボい。
その実態は後に続編の『5』で説明された。しかしその設定は『5』のストーリー上でこそ説得力があるが、この男に当て嵌まるかと言うと、とてもそうは考えられない。
弟同様、過去の描写や設定はほとんどなし。
弟との関係については響也の項で説明したので割愛。
彼もまた、弁護士になった理由や法をやけに重んじる今の思想に至った理由などが全く解説されない。結果としてラスボスとしてのスケールは余計小さくなった。
これが『1』のラスボス・狩魔豪のように何十年も法廷で戦ってきた風格ある大ベテランなら説明されなくても説得力はあるが、彼の年齢は成歩堂より一つ下(現代で32歳、過去で25歳)である。弟と同じ轍を踏んでいく。
前述のサイコ・ロックは次回作以降の伏線と考えられなくもないが、この程度の小物が次回作以降絡んでくる余地があるとは思えないし、彼にはこれといった背景設定もそれを連想させる描写も何もない。
手にある「悪魔」の傷について、傷がついた経緯の設定は用意していたと攻略本で語られている……が、これもまたゲーム中に全く出てこない。
成歩堂を貶める行動をとっている一方で、成歩堂の資格剥奪についてただ一人異議をとなえるという、なぜか彼を助けるような行動をとっているが、それについても特に説明はない。
「犬を最大の友と呼ぶが、その犬にかまれている」「新人の弟に捏造証拠で勝とうとする」「切手は舐めるものという前提でトリックを組むが弟にその前提を否定される」「弟に無情なとどめを刺される」など、彼の周囲や家族に関するネタっぷりも相まって「本当に成歩堂と友人になりたかった(そのため資格を剥奪された彼の傷心につけ込もうとした)のではないか」という珍説が飛び出す始末。
実際は成歩堂のことを最終話で「勝負運とハッタリだけ、二流の弁護士」と見下しているので、本当の所は7年前の裁判の関係者である成歩堂を監視するための演技だったのだろうが。
ここまでボロクソに書いたが、これで全てではない。この他にも小物すぎる言動や行動が多数存在するが、キリがないので詳しくはこちらを参照。
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『3』のラスボス *12 とは「第1話で真犯人として捕まり一旦退場」「最終的な犯行の動機はプライドによるもの」「兄弟姉妹の存在」「敵対するのは主人公の上司(そして計画はその上司が破綻させる)」と、やけに共通点が多い。
但し、『3』のラスボスは『2』で張られた伏線も含め背景事情が綿密に描かれていたため、「動機はプライド」と言ってもその大きさも負った傷の深さもかなり強く感じられるし、巻き込んだ人物や被害の大きさもシリーズ最高クラスで最終話では死んでなおも(というか死んだことを利用して)最後の計画を成功させようと動いたりと、敵としての強さも大きく違う。
そもそも、『3』の場合(計画を破綻に導いたのは師匠とはいえ)きちんとプレイヤーの手でとどめを刺せる。
以上のように、ラスボスや人間としては落第なのだが、そのマヌケな姿や言動、「みぬく」や「裁判員制度」に対するメタ発言、最後の何かが覚醒したかのようなリアクションが(別の意味で)一部のファンから愛されており、ネタキャラとしての評価はかなり高い。
実際『逆裁5』発売時の人気投票においては、『4』だけにしか登場していないにも関わらず16位と『4』のキャラの中では上位に入っている。(ちなみに50位以内に入っているのは上記3名を除くと彼と後述のまことしかいない。

或真敷(あるまじき)ザック

今作における諸悪の根源。

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彼の正体は第1話の被害者・浦伏影郎(本名・奈々伏影郎)。この時点では名前以外謎の男であった。
7年前に師匠を殺害した罪で起訴されるが、そのまま法廷から失踪。その際に1人娘のみぬきを置き去りにした。ストーリーの中心を担う人物でありながらその行動があまりにも意味不明で、『逆転裁判4』最大の破綻を引き起こしている。

理解不能な行動を取り、話を無駄にややこしくする。
7年前に担当弁護士を「ポーカーに負けたから」という理由で解雇し、私怨を抱かれる。
真剣勝負を通して人間の本性を見抜くザックの主義だというのだが、弁護士として信用できるか否かではなく自分が蒸発した後に娘を押しつけることができる人間を選んでいたというのが真相である。
最初から失踪するつもりで裁判に臨んでいる。
自分の無実を証明する証拠を持っており、それを成歩堂に託せば無罪を勝ち取れたのにそのまま失踪。結果として成歩堂の弁護士人生を台無しにすることになった。
最終話のメイスンシステムにおいて、第1話で成歩堂と会っていた理由が明らかになるのだが…
その理由とは「自分の持つ或真敷一座の権利をみぬきへ譲渡するために、現在の保護者である成歩堂のサインをもらいに来た」というもので、この方法で相続するために7年前の裁判で失踪したことが明らかにされる。『逆転裁判』の世界では「7年間行方不明だった者は故人として扱われる」という法律がある(現実でも「普通失踪」をすると同様に扱われる)ため、自分が「故人」となって権利がなくなる前にみぬきへ確実に相続しようとしたのだ。
現実の制度では被相続人を相続人となる者が殺害し有罪判決が下れば相続欠格となり、相続権が剥奪される。ザックは「あの時点で有罪になるわけにはいかなかった」と話しているので、本作でも同様の制度が取られているのかもしれないが、前述通り彼は無罪を証明できる証拠を持っていたのである。もはや本末転倒。
しかもこんな発言をすること自体、成歩堂が自分を無罪にしてくれる可能性など欠片も信じていなかったということになる。
そもそも、故人になると権利がなくなるのなら先にみぬきに権利譲渡をしてから失踪すべきだし、普通に考えればザックが「死亡」した時点で遺族であるみぬきに相続権が移るはずである。
たとえ有罪になってザックが相続欠格になっても、みぬきが天斎の直接の孫である以上、代襲相続は可能である。
結局、ザック(というかスタッフ)が強引に法律を持ち込もうとして、実際のところ知識に疎いため多くの破綻を起こしているというのが問題である。
逆転裁判世界の制度は現実とは異なるが、今回の場合失踪宣告のように現実にある制度を持ち込んでいるのでタチが悪い。
こんなことをして変化するものは、弟弟子・バランに一切の権利が渡らなくなること以外にはない(現実の制度ならばここまでやっても「全く」渡らないということはおそらくないが)。みぬきは或真敷の血(特殊能力持ち)を受け継いでいる以上、彼女に一座の全てを受け継がせたいという心情はまだわからなくもないが、恐らく年齢的にもマジック以外の何も持ち合わせていないであろう弟弟子から、何もためらわずすべてを奪い取ろうとするその行いは到底まともには見えない。
上記の密談のあとに第1話の事件が起こるが、その時のザックの行動が全くの別人であり、キャラクターが破綻してしまっている。
それまで普通に応対していたのにいきなり豹変し「弁護士風情が手品師の真似事をしているのが許せないんだよ」と難癖をつけ始め、ポーカー勝負を持ちかける。ザックはこの勝負で成歩堂を負かし「7年間無敗」という地位と名誉を失墜させようとしたのだが、成歩堂は「大事な勝負のときはみぬきの力でイカサマしていた」と白状しているうえに、ザック自身もそれに感づいている。にも関わらず、「お前の勝ちはイカサマだ」などと前後の繋がらない支離滅裂な台詞を吐きながら、勝負を仕掛ける。
そのために協力者(イカサマ師)を数日前からバーに潜入させており、後に協力者の口から「罠に陥れるのが目的で、勝ち負けはどうでもよかった」と語られている。つまり、突発的に勝負がしたくなったのでも、純粋に7年前の雪辱を果たしたかったのでもなく、最初から成歩堂を陥れる目的で勝負を仕掛けているのである。娘の保護者にそんなことをして何の得があるのか。もはや恩を仇で返すどころではない。というか自分がイカサマをしているのに他人のイカサマを糾弾する資格なんか無い。
そしていざ計画が失敗すると、逆ギレして協力者をボトルで殴り倒して昏倒させ、成歩堂がその場を離れた直後にラスボスに撲殺されてしまった。
「キャラが破綻している」と述べたが、第1話と第4話で変わらない部分がある。それは粗野で暴力的な性格だということ。すぐカッとなる上に口より先に手が出てしまう辺りが大問題である。
自分が潜入させたイカサマ師を殴り倒した件(第1話)に加え、成歩堂のサインをもらう際に連れてきた公証人にも自分の意向に沿わない発言をした際に暴力をふるっており(第4話)、この公証人は親交を深めるまでにパンチをもらったとも発言する(ギャグ的な意味は強いが)。上記の支離滅裂な行動に対してあえて目を瞑ったとしても、こんな人物を見てまともだと思える人がいるだろうか?
一応、第4話での行動については成歩堂に対して謝罪はした。さらに、自身が失踪したことで容疑がかかっているバランに対する謝罪も込めて7年前の犯行について虚偽の自白をする書類を成歩堂に渡してはいるが、成歩堂が失ったものの大きさなどと比較するとフォローになっているとは言いがたい(バランへの自白書類に至っては、彼の心にさらに追い打ちをかける結果にすらなってしまっている)。しかも第1話での行動についてはフォローなし。
「前述した無罪の証拠を出さなかったのは弟分のバランが疑われるから」という意見もあるが、実際に自分が失踪したためバランが疑われていることについては成歩堂から聞かされて「そんな、バカな」と驚愕している。つまりは何も考えていなかっただけ。
バランについても容疑だけは晴らそうとしているが、権利は全く譲る気がない(まあそのためにこんな回りくどい行動をとったのだが)。自分がいない7年間、一座を支えようとしてきたのは誰だと思っているのか。
まとめると、「一座(および自分)の親族と権利を守るため、弟弟子からはすべてを奪う計画を企て、本来やるべきことは投げ捨てて成歩堂に押し付け、それがきっかけで多くを失った成歩堂にさらに難癖をつけて追い打ちをかけようとした」ということになる。成歩堂とバランにして見れば迷惑以外の何物でもない。
ここまでしてみぬきを守っているように見せながら、みぬきの父親としてもかなり問題あり。
みぬきが上記のような性格に育ってしまったのを見るに、ろくに子供の教育もできていない。
法廷から脱走するためにみぬきを利用した。事情があるとはいえ犯罪行為であり、年端もいかない娘をそれに加担させるのはいかがなものか。
成歩堂事務所でのみぬきの発言「給食費を10か月分滞納してるから払って」。これが裁判から2週間後の発言なので、ずっと滞納していたようだ。
これはメイスンシステム内の発言なので真偽は不明だが、その後も成歩堂達はどちらかが倒れると事務所が成り立たなくなるほど金銭面で苦労しているので実際に全く金銭面でのフォローなしで娘を押し付けていった。
このように諸悪の根源そのものなのだが、既に故人になっているためプレイヤーがこの男を断じることはできない。同情の余地は全く無いし、人によっては殺されて清々したと思うかもしれない。
おまけに劇中ではまるで悪人扱いされることなく、終始「やや破天荒だが、いい人物」のように扱われるのでタチが悪い。
上記の一連の行動・言動はもはや 電波 といっても差支えない。
そもそも本作の開発陣は、この男の意味不明過ぎる行動に対して、誰一人として不審に思わなったのだろうか?
公式ガイドブックによると、シナリオ担当の巧氏は「逆転裁判4全体のプロットと第1話の流れをほぼ同時進行で考えたため、いざ全体を通して見てみるとザックが大分破天荒というかムチャなキャラクターになってしまった(意訳)」と、ザックのキャラクターが著しく一貫性に欠けていることを認めるコメントをしている。恐らく「全体のプロットを作ってからじっくり個々の話を固めるという段階すら踏めないほどスケジュールが逼迫しており、現状のプロットを維持したまま軌道修正するにしても、プロットを全て破棄して物語を作り直すにしても、時間その他諸々があまりに足りなかった」ということなのだろうが、それにしてもこの破綻ぶりは擁護不可能なレベルであろう。
或真敷一座

或真敷ザックの所属するマジシャンの一座。その名前の通り、人として「あるまじき」行為を行い、本作の様々なところで問題を引き起こしている。

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或真敷天斎

或真敷一座の座長で、ザックとバランの師匠。ザックに一座の権利を譲渡したあと、他殺と疑われるような状況を仕組んで自殺。その理由は結局不明のまま(自殺の動機については病苦が原因と思われるが、後述の弟子に対する試練が終わったあとにわざわざ弟子に疑いがかかるような状況を作った理由は全く明かされない)。
普通に考えてみれば、明らかに自殺なのだが、その後の警察の捜査では硝煙反応を調べていない為に他殺を疑われてしまっていた。
ザックとバランに「自分を殺せ」という手紙を送りつける。それは継承者を見定める試験であったのだが、当然その手紙が犯行動機ではないかと疑われる。
娘は事故後も生きていたにも関わらず死亡扱いにし、それをネタにザックとバランを脅迫し続けていた。
7年前の裁判の原因を作った男であり「あるまじき」一座を象徴する人物。一応、脅迫し続けた件は存命中に謝罪している。

或真敷バラン

ザックの弟弟子であり相棒。天斎の自殺を最初に発見し、ザックに殺人の疑いがかかるよう工作した。さらに天斎を殺してその罪をザックに被せるよう画策していたことも明らかになるが、このことに対しては以下のように因果応報な仕打ちを受けている。
ザックが裁判中に失踪したために、自身の容疑を晴らすこともできず地位も名誉も失った。証拠不十分として釈放されたあとも世間はバランを悪人として扱い、表舞台から追放された。
しかも7年の間、或真敷一座の権利がザックとバランどちらが受け継いだかということが明らかにされていなかったため、一座の手品は一切使うことができず、デパートの屋上などの小さな場所でオリジナルの手品で生計を立てていくしかなかった。
補足しておくと、一応現代においてはある程度大きな仕事の依頼が来るぐらいには信頼を回復している。頻度は不明だが。
「7年間行方不明だった者は故人として扱う」ことから、唯一の生き残りである自分が一座の権利を譲渡されると意気揚々としていたところに、成歩堂にザックが一座の権利を娘に渡したという事実を突きつけられ愕然とする。
それに追い打ちをかけるように、ザックがバランに対しての謝罪の意味も込めて書いた「7年前の事件の犯人は自分」という手紙のせいで、さらに心を傷付けられる。
ある意味、天斎とザックのせいで一番被害を受けた人物。ザックに濡れ衣を着せようとしたり殺人を計画したりと問題行動は多いが、その結果名誉を失っているのは自業自得であるし、最終的には全ての罪を認め警察に出頭して罪を償っている分、少なくとも天斎とザックよりはまともではある。
みぬきに対する発言からは(ザックに罪を被せようとした結果父子を引き裂いてしまった負い目もあるかもしれないが)ザックを優れたマジシャンとして認めていることが感じられ、4話の序盤では「もしザックが健在で、或真敷一座再興のためのショーを企画したのが自分ではなくザックだったとしたら、自分は喜んで助手になっていただろう」という旨の発言までしている。
天斎が脅迫や他殺に見せかけた自殺といった傍迷惑な行動に走ることさえなければ、ザックとの関係は良好だったのだろう。
ちなみに人物像そのものとは無関係だが、作中では3話のまわりくどいトリックを考えたのはこの人ということになっている。
やっていることは悪行だが、天斎やザックと違い筋は通っている。そもそも作中での役割を考えるならポジション的に彼はなんら間違ったことをしていない。
3話の真犯人といい悪役寄りの人物の方が、劇中での真人間ポジションの人物よりまともに見えるとはこれ如何に。

或真敷優海(ラミロア)

ザックの妻であり、天斎の娘。もともとはザック・バランと3人組で芸をしていたが、練習中に事故に遭遇し失踪。死亡したかと思われていたが、記憶喪失と盲目になりながらも生きており、ボルジニアで「ラミロア」という通り名で歌手として活動していた。瀕死の重傷を負い、記憶と光をも失った人間が日本からはるばる北欧まで移動し歌姫となった経緯はなぞだが、それが作中明らかになることはない。
第3話で被告人の相方兼保護者代わりとして登場。被害者が事切れる直前に、目撃者が彼女であると思われることを口走ったことから、事件解決のカギを握る人物として証言するはずなのだが、芸能人としてのキャラづけのために盲目であることを隠して嘘の証言をしたり、事件の重要なことを意図的に隠していたりとグダグダな証言を繰り返し、捜査と裁判をいたずらに混乱させる。
ひどいときには「契約ですから」と証言しようとしないことも。被告人の無罪・事件解決とどっちが大事なのか。
過去作でも嘘をつく証人はたくさんいたが、そういう証人に限って事件の核心に迫る情報を持っていた。ところが長々と尋問をやって彼女から引き出せるのは「私が聞いた犯人の声は、あの人です!」という情報のみ。なぜ初めからそう言わない?
また解決後は、自分と被告人がデタラメな証言をして裁判を混乱させたことに関して謝罪やフォローの一つもしないどころか、「全てが明らかになるのが怖かった」などと自分達のしでかしたことを正当化するような発言までする。
王泥喜とみぬきの母でもあり、前の夫が結婚から1年足らずで亡くなったあとザックと再婚。ちなみに前の夫(王泥喜の父親)の話は軽く触れられただけで終わっており、名前や素性なども不明。この点からも王泥喜の扱いがみぬきに比べて明らかに軽いことがうかがえる。
自身が盲目と記憶喪失になった事故に巻き込まれて失踪してからボルジニアでの活動に至るまでの過程や、王泥喜の過去についての話が作中には一切登場しない。次回作以降の伏線と考えられなくもないが…
さらには「(みぬきには)家族がいただけ幸せ」と言う発言やザックが王泥喜の存在をほとんど知らなかったことから考えるに、前夫との子である王泥喜を再婚する前に(それもザックがその存在に気付くよりも早く)捨てた疑惑が浮上する。少なくとも、王泥喜と彼女とでは事故の言い訳は通用しない。無論、開発陣はそんな設定にしたつもりは全くないのであろうが、これも本作がきちんとした説明がなされないせいである。
流石にあんまりな疑惑だったのか『6』ではちゃんと説明がされ、夫と子を捨てた疑惑は公式側から否定される事となった。
最終話の根幹となっている「メイスンシステム」は、この或真敷一座のしでかしたトラブルの尻拭いがほとんどである。しかも、或真敷一座とラスボスとのつながりは、ザックがラスボスの元依頼人かつ被害者であるということだけであり、メインの現代の裁判とはほぼ無関係なことばかりやらされることになる。
なお、フォローのつもりなのか、『6』にて或真敷一座が多少掘り下げられている。
助けるべき依頼人たち

今作の依頼人には完全な意味で潔白な人が1人も存在しない。過去作における依頼人は一癖も二癖もありながらもなんだかんだでプレイヤーに助けたいと思わせるような人物が多かったのだが、本作ではほとんどの依頼人は(訳ありとはいえ)何かしらの犯罪に関わっており、さらに姿勢に問題があり助ける気になれない、寧ろ求刑どおりの罰を受けるべきという意見が多い。

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第1話:成歩堂龍一

前作までの主人公。常に非協力的で態度がいちいち癪にさわる。事件の全貌を把握しており、終始審理の誘導を続ける。裁判の後半には王泥喜を差し置いて弁護士席に立ち、自分でどんどん話を進めそのまま決着をつけてしまう。このため、王泥喜を真犯人を引きずり出すためのダシとして利用しているようにしか見えない。詳しくは後述の「前シリーズキャラの改悪」欄を参照。
第2話:北木滝太

まだ気構えも実力も未熟なヤクザの息子。自分の体調についての情報を隠していたことに逆上し、被害者を凶器持参で殺害しようとしたところで事件に巻き込まれる。
逮捕されて刑務所行きになる事を「(極道として)箔がつく」と望んでいる節があり、王泥喜に対しては(実際に依頼したのは真犯人と父親とは言え)非常に攻撃的かつ非協力的な態度を取る。裁判の終盤では真犯人を庇うために嘘の自供をしかけ、無罪になっても感謝(ここは父親が代わりに念を示しているが)するどころか王泥喜に激怒する始末。ここまで弁護してくれた王泥喜や自身のために家業から足を洗おうしている父親の事を何だと思っているのか。
その後、王泥喜の指摘で父親の真意に気づき、エンディングでは(方針で対立しつつ)歩み寄る姿勢を見せているものの、王泥喜には結局感謝しないうえに性格が不良のそのままなのであまり成長したように見えない。
第3話:マキ・トバーユ

外国の少年ピアニストだが、実は祖国では国外に持ち出せば極刑となる物品を国外に持ち出した密輸犯。真犯人は密輸の共犯者であったため最初からそのことを自白していればすべてが解決していたのだが、裁判では極刑を恐れて日本語を理解するにもかかわらずそうでないふりをし、結局最終局面までだんまりを決めこむ。最終的に「祖国ではない日本で逮捕されれば極刑を逃れられる」と指摘されたことでようやく自白。
密輸の動機については「事情は言えないが、カネが必要だった」としか言わず不明。
判決の直前には裁判長・王泥喜・牙琉に「偽りばかりの私に光を見せてくれた」と感謝するが、数々の行いの動機について納得できるような説明が一切なされないため、感情移入や擁護がまるっきりできない。「実は密輸については無実で、刑罰から逃れるためあえて無実の殺人で有罪になろうとした(そうすれば死刑回避の可能性も出てくる)」とか「真犯人をかばい無実の殺人で」とかいう話でもなく、密輸実行犯であることは確定した上に殺人についても終始否認しており、自白したのは良心が咎めたのでも何でもなく単に「自分が死刑ではなくなるから」でしかない。
このため一応日本の法律で裁かれるものの「金目当てで重罪に手を染めた上に同情の余地が感じられない犯人を、本来受けるべき刑罰から免れさせた」という後味の悪さが残る。『3』第2話でも窃盗犯を無罪にしてしまってはいるが、様々な点でこの被告人とは雲泥の差である。そもそも、刑罰の重さもまるっきり違う。
こんな有様なので、彼よりも真犯人の方がキャラ人気や同情度が高い。
第3話終了後も、彼のその後についてのフォローは全くない。また本シリーズのEDは登場キャラクター達の後日談が通例なので、そこで本人による動機の述懐や、その後の処遇などについての言及があるかと思いきや、なんと登場すらせず。
本人の背後事情から同情しようにも、その事情を頑なに語らない為それもままならず、ただただ悪辣さだけが目立つ結果に。
主人公の弁護で無罪判決を受けた被告人の中で、EDに登場すらしなかったのは過去作から通して見てもこの人物のみであり、同情のできなさに拍車をかけている。彼のように殺人以外の刑事責任を問われた被告人は過去にもいたが、そんな場合であっても留置所のガラス越しにきちんと後日談が語られていた。
最終話:絵瀬まこと

画家の娘だが、その正体は証拠品や美術品の贋作師で、成歩堂が失脚する原因となった捏造証拠を作った張本人。
非常に内気な性格で、事件についての情報を語らない。ただし本人は捏造証拠の作成当時まだ小学生で、当然証拠の捏造についてろくに理解できるはずもなく、事件の被害者である父親にその才能を利用されていた。また内気な性格も幼い頃に誘拐されかけて以来、外にほとんど出たことがないという理由がちゃんとつけられており、しかもそのことが原因で自身の命の危機にまで至るため、それほど強い批判を浴びることはない。
最終的に、全力で無罪を勝ち取ってくれた王泥喜に感謝の言葉を述べ、世間に触れようとしなかった今までの自身の生活を反省し、自らの目で世界を見ていこうという前向きな意識を見せた。このように今までの自らの在り方を反省し明確に成長する姿を見せた作中唯一の人物であり、今作の依頼人のみならず登場人物の中では王泥喜と並び一番まともである。
キャラクターデザインの評価も高く、ヒロインであるみぬきがあの有様なので、彼女こそ名前通り「真」のヒロインだというプレイヤーもいる。EDの一枚絵も彼女が描いたものと作中の扱いもやや大きめ。
最終話(過去):或真敷ザック

売れっ子の奇術師。成歩堂が失脚する原因・その2。詳細については前の項目を参照。
とまあ、ごらんの有様である。一応前シリーズでも何らかの形で犯行に関わっているなど純粋に潔白とは言いがたい依頼人はいるが、事情や背景がきちんと描かれていた。中には犯罪者(もちろん殺人ではない)もいたが、憎めないキャラクターづけがされていた。

前シリーズキャラの改悪

上記の要素に加えて大問題なのは、前シリーズのキャラクターがまるで別人になってしまっていることである。

成歩堂龍一 前作までの成歩堂は普段は三枚目ながらも真実を追い求める熱い男であり、卑怯な手などは一切使わないはずだったのだが…。

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「証拠の捏造で法曹界から追放された」という衝撃の設定で登場することに。「一体何があったのか…?」と誰もが壮大なシナリオ展開に大きな期待を抱いたことだろう。
しかし蓋を開けてみるとその経緯が、開廷前にみぬきから証拠品を受け取る(みぬき曰く「知らないおじちゃんからもらった」。)→審理中、最後の局面でつきつける→即座に相手検事から「それは捏造」と断言される(しかも、それを証明できる証人まで既に用意されていた。)→追放というあまりにも雑な展開であったことが明かされる。
このあたりは実際にプレイヤーが成歩堂を操作して捏造証拠を突きつけることになり、「なぜプレイヤーの手で成歩堂にとどめを刺させるのか」と批判されている。
この流れについても、『土武六に「いつ証拠の捏造の依頼を受けたか」(最低でも裁判3日前以前)という証言を求め、「ザックからの弁護依頼状(裁判の前日)」を提出すれば(少なくとも捏造の依頼について)嵌められたことを立証できたのでは?』、ということがユーザーに指摘されている。こうすれば謹慎処分程度で済んだ可能性が高い
作中では「担当弁護士を正式に登録するのは裁判前日であるため、成歩堂の前任者が存在したとしてもそれが誰か立証できない」と語られているが、徹底的に立証しようと思えば、面会室の看守など証言できそうな人間がいくらでもいると思うのだが…。
また、たった一度の捏造だけでバッジ剥奪というのは理由として弱いという批判がある。本シリーズの検事は不正証拠を発見されても処罰のみで済んでおり、『蘇る逆転』で御剣が(本人が知らなかったとはいえ)捏造証拠で勝利を勝ち取ってもろもろあったという大スキャンダルが明らかになったが、御剣はその後も特に罰せられた様子もなく検事を続けている。
また、前作のEDからたった2ヶ月で弁護士バッジを取り上げられるという設定もあんまり過ぎるとして批判の的となっている。また、成歩堂よりも、前述のように牙琉の方がはるかに重大な問題を起こしているのに、牙琉は一切お咎め無しということにも批判が多い(検事と弁護士では台所事情が違うのかもしれないが)。
しかも、牙琉響也の項でも述べたが、捏造証拠の提出を迫られる理由が「本当は検察側がするべき説明を強引に弁護側に押し付ける」というもの。しかも一番に指摘できるはずの問題については勝手な理屈で拒否される。
こういった明らかに無理がある展開で捏造証拠の提出まで持っていかれるため、プレイヤーからして見れば「話を成立させるため、無理矢理捏造証拠の提出に持っていく展開を押し付けられた」としか感じられない。
成歩堂自身がラスボスを追い詰めるために「もう弁護士じゃないから」と言って平気で証拠捏造や盗撮を行う。
いくら真犯人に決定的な証拠を消されたといっても、他に方法はいくらでもあったはずである。実際、過去作では決定的な証拠を消した真犯人に対し既存の証拠品を機転を利かした使い方で突きつけ、真犯人の自滅を誘って事件解決へと導いたこともあった。
捏造した証拠を初対面の新人弁護士(王泥喜)に使わせる。また、みぬき経由で手渡すという方法だったのだが、物語が進むと過去の自分がやられたのと全く同じ方法だと判明する。王泥喜やラスボスを自分と同じ目に遭わせたいだけのようにしか見えないが、王泥喜に殴られても謝罪なし。何かのはずみでバレようものなら最悪どうなるか、成歩堂が一番よく知っているはずだが。
そもそも、盗撮については茜ら警察関係者に独房の調査を頼めば決定的に近い証拠を入手できたのでする必要もない。そして弁護士であろうが無かろうが、盗撮や証拠捏造が倫理・法的に許されるものではない事は言うまでもない。
王泥喜の師匠であるラスボスが1話で捕まったことにより、自分が実質的に師匠になったのだが、王泥喜には「発想を逆転」などの弁護士としてのテクニックを一切教えない。アドバイスはしてはくれるが、キザなだけで全く役に立たない。
そのくせ、何かにつけて自分は動けないからと言って王泥喜を手駒としてコキ使いまくる。さらに主な収入源が中学生の養女で、その養女からは「ヒモ」呼ばわりされる。その一方で自分の事務所で働いてくれている王泥喜を(自分のことを棚に上げて)「使えないマスコット」呼ばわりする。
成歩堂本人に収入はあるらしく(おそらくポーカーの仕事)、入院して動けなくなったことで家賃と給食費の心配をされている。その減収分を補うために王泥喜をこき使うわけだが。
念のため書くが、成歩堂の行うポーカー勝負では金銭を賭けることは一切ないので、少なくともこの点については法に触れてはいない。
性格面でも前作からの変化や堕落、印象の悪い部分が多く見られる。
とにかく皮肉屋な面が前面に出ており、プレイヤーの癇にさわりやすい。皮肉屋な面は第1作からあったが、基本的に対象は関わった事件の真犯人(その中でも相当な悪人)にほとんど限定されていたので、さほど問題視されていなかった。しかし本作では王泥喜(つまりプレイヤー)に対してそういう面を見せてくるため、印象は悪い。
過去の裁判では落ち着いた物腰を通り越して検事の牙琉を新人であることから舐めてかかる。しかも周辺からそろってベテラン扱いされる。
確かに潜り抜けてきた修羅場はそこらのベテラン以上だし、『2』時点で結構名が知られ『3』では師匠から一人前と認められているが、それでも弁護士としてはまだ3年しか活動しておらず「ベテラン」呼ばわりに違和感を感じる人も。また『3』第5話からは2か月しか経っていないにもかかわらず、ここまで性格が大きな変化をするのも不自然。
さらにエピローグでは「生きることに価値があるかぎり、人は簡単に死なない」という、一見いいこと言ってるように見えるが逆に言うと人が死ぬのは生きることに価値がなくなったからという自分の師匠を含めた今までの事件で死んだ人間を愚弄するような発言をする。というかシリーズの都合上人が死ぬゲームで簡単に死なないと言われても説得力ゼロ。今作の成歩堂は同じようなキザなセリフを随所で吐くのだが、どれもことごとくスベっている。
自分が動けなくなると収入が減ることを承知しているのに、自身の健康管理についてはかなりいい加減。第2話での入院中、ドクターストップがかかっているのに好物のグレープジュースをラベルを張り替えてごまかしてまで飲み続けている。
これは「調べる」である場所を調べた際に出てくるテキスト。劇中ではギャグ的な扱いをしているが、ここまでの流れを見るとギャグとして受け止めるには難しいところ。
しかもこのジュース、元はワインの設定だったものをレーティングのためにジュースに変えたものである。変更前の設定が押し通されていたら「ドクターストップを無視して病院内で隠れてアルコールを摂取し続ける前作主人公」というシャレにならない絵面が出来上がっていたことになる。
メイスンシステムで彼を操作している間は前作までに近い性格の彼を見られるが、後述するようにメイスンシステムに客観性がないので「ようやくなるほどくんが戻ってきてくれた」とも「今更白々しい」とも言え、賛否両論。
にも関わらず、終始完璧超人扱いされる。
前作からあまり間を置かずに追放されているのに、王泥喜からは「俺たちの世代で知らない人はいない」と言われるなどやけに持ち上げられ、弁護士としても完璧な人間扱い。
周辺の人物も、主人公である王泥喜よりも成歩堂を持ち上げることが多い。
「車に撥ねられ数メートル飛ばされた上に電柱に頭をぶつけたが、脚の軽いケガだけで済む」など、従来シリーズからの悪運の強さ(というか主人公補正)は健在で、そういう意味では超人である。
最終話では裁判に関する一連の流れを組み立て取り仕切っていた。しかしその扱いにも批判が強い。
行ったことは「事件調査及びその資料の準備、新制度の試験導入、メイスンシステムの用意とおそらくその管理、裁判員選出、裁判の模様をTVで全国生中継の手配」と多く、そして法曹界との繋がりもない人間がどうしてそこまでできたのだろうかという疑問がある。
裁判の大半が過去の事件の解明に当てられているのもおかしい。この裁判は「父親を殺害した容疑で逮捕された娘の審理」であり、「過去の裁判の真実を明らかにすること」はその一環でしかないはずである。もっと言えば、或真敷一座の起こしたトラブルの尻拭いである。
しかも過去の事件の内容が自分が追放されたものである上、その後の自身の調査内容に不正な捜査や基本的に自分しか使えないはずの超常能力を織り交ぜるなど、メイスンシステムは成歩堂の主観に頼っている部分が強く公平に感じられない。
結局、この裁判は(前述の不正な捜査などもあって)自分を陥れたラスボスに対する報復のために行われた多分に私的なものと取られても仕方がない。ラスボスは確かに殺人犯である(少なくとも劇中の事件に関してはほぼ確実に有罪)が、ここまで常軌を逸した裁判で追い詰めることは到底正当とは言えないものである。
これだけ不正をやっておきながら、エンディングにおいて「また司法試験受けてみようかな」と発言する。
最もこの台詞のおかげで『逆裁5』で弁護士として復帰し主人公にも返り咲いたわけだが…。
なぜここまで成歩堂が別人になっているかというと、 既存の全く別のキャラに無理矢理当て込まれて登場したから である。先述の通り、開発当初は出演予定がなかったが、後々にカプコン上層部の意見にて出演する事となった。そのせいでところどころ矛盾や無理矢理感が残っている。
このため旧作ファンからは「ダルホド」「ピアニート(表向きの職業はピアニストなので)」と呼ばれ、蛇蝎のごとく嫌われている。「ダルホド」という呼称には「ダルそうな成歩堂」の略というのが一般的だが「これは『ダル歩堂』という別人である」という意味(願い?)が込められているとも。
一応作中のセリフからみぬきと遊園地に行ったことが示唆されたり、第4話ではみぬきと王泥喜におみやげのプリンを買ってきたり、メイスンシステムで事務所を調べるとみぬきを育てることについての心配をする描写も見られ、王泥喜からは「ウソくさい」と言われつつも親子関係は良好である。
給食費については「また転校するしかないかも」という発言をしているので払えたかどうかについては怪しいが、7年間全く事務所の場所を移していないので少なくとも家賃は払えていたようである。
第3話では15年分の小遣いを前貸ししたこともあるなど、金銭的に不自由させておらず、父親としてはそれなりにやっている……と言いたいが、その不自由の無さはみぬき(と第2話以降は王泥喜)の稼ぎによるものなので見事に台無しである。
おまけに、みぬき(と王泥喜)の面倒を見ることについてエピローグでは「あの二人は"生きがい"みたいなところがありますから」と一見いいことのように聞こえるが、生計をこの二人に頼っている身としては上から目線も甚だしい発言をし、その直後に「たまにめんどくさいけど」と更に余計な一言を言い放つ始末。本人たちが見ていないところでの発言とはいえ、やはり父親としても失格か(ザックよりましだが)。お茶目さを出すためにしても寒い。
宝月茜 初登場の『蘇る逆転』(『1』の追加シナリオ作品)では科学捜査官を志し、時に暴走することはあっても信じた道を真っ直ぐに突き進むキャラクターであった。

今作では初動捜査担当の刑事として登場するのだが、終始職務怠慢で捜査に非協力的。それどころか本来刑事でない王泥喜に死体の見張りや捜査の手伝いを押しつけることも。ただ、カガク捜査には相変わらず熱心で、うまくおだてると何かと便宜を図ってくれる。最終話の初期探偵パートでは封印された封筒の解析や毒物の検出など比較的活躍の機会も多かった。
協力を求めるとかりんとうを食べてごまかす、場合によってはかりんとうを投げつけてくる。さらにEDでまでかりんとうのことを語るなど、謎のかりんとうキャラ推しが終始続く。
かりんとうを食うテキストはやたらと長いうえにスキップできない。長い上に勝手に文章が送られスキップもできないセリフは過去作にもあった(『1』『2』『3』『検事』のオバチャンや『3』の哀牙など)が、それらは大抵きちんと文章として成り立っており、セリフを解読するという楽しみはあった(非常に読み取りづらいが)。しかし彼女の場合本当に何の意味もない「さくさく」という文字がひたすら流れるのみ。
証言台でも食べているが、この点については過去作でも法廷内にカメラを持ち込んだ証人やコーヒーを飲んでいた検事などがいたりするので、まだ割り切れなくもない。
…が、あろうことか事件現場、死体の横でも平気で食う。事件現場での飲食は証拠物などが汚れてしまう危険があるため到底許されず、即刻捜査現場から叩き出されても文句が言えない行為である。現役警察関係者どころか、それ以前の警察学校の時点で学ぶレベルの知識なのだが。『2』の狩魔冥を考えるとキャラ付けのシーンとは言えるが、立場が立場である。
というか何故かりんとうが出てきたのかも不明。彼女の出番は発売当時『蘇る逆転』第5話の一回限りだが、そこでもかりんとうの「か」の字も出てこなかったし、別に本作でかりんとうについて何か特別な事情が語られるわけでもない。しかもこれが『4』初登場の完全新規キャラならともかく、既に一度出ているキャラなのでますます違和感は大きくなる。キャラを作るのにもっとやりようはあったはずである。
おかげで「さくさく」というテキストが茜の代名詞として定着してしまった。ネタとして親しんでいるファンもいるので全否定されているわけではないが。
刑事としての差は、前シリーズで初動捜査を担当していた糸鋸刑事(通称イトノコ刑事)と比べると分かりやすい。
イトノコは事件の説明役として法廷に立つことも多かったのだが、今作では彼女が現場を任されているのに法廷に立つことが異様に少なく、印象が薄い。
また、御剣とイトノコの間にはなんだかんだで強い信頼関係があるのだが、牙琉と彼女にはそういったものが全くない。それどころか互いに激しく嫌っている。双方が嫌っている理由もとてもくだらないもので、ただの子供の喧嘩にしか見えない。
ストーリー全体を通して職務に対するやる気が感じられない。台詞から、志望していた科学捜査官に就けなかったことや成歩堂が別人になってしまったことが原因だと考えられるが、社会人として失格である。常に不機嫌もしくは威圧的な態度で、立ち絵までそのようなものばかりに差替えられており、『蘇る逆転』で見られた快活さや素直さが消え完全に別人となっている。
というか、なぜ科学捜査官にしなかったのか。『蘇る逆転』や本作のプロモーションビデオで彼女は科学への熱い思いを語って「これぞ私の生きる道!」とまで断言しており、しかも過去や姉との絆に関わる強い理由がある。それに加えて、本作で彼女が役に立ったのは、石膏で現場の足形を取ったり特殊な液体で毒を検出し殺人方法を立証したりといった、科学捜査を活用したものばかりである。
それなのに『逆転検事』シリーズでも『蘇る逆転』と同じような役割で登場させている。そうなると、なぜこんな形で登場させたのかますます分からない。
彼女がここまで変わった理由は「メインヒロインであるみぬきと"明るいキャラ"が被るのを防ぐため(『逆転裁判画集-王泥喜編-』より)」とのことだが、そのためだけに夢を潰えさせるのはあんまりである。他に方法はなかったのか。
それ以前にみぬきと現在の彼女の年齢差、立場の違い等を考えると、キャラが被るという事自体がまずありえない。そもそも改変させてまで登場させるくらいなら、素直に新キャラを出そうとは思わなかったのだろうか。
皮肉にも、本作の彼女とみぬきは「普段の素行に問題がある上に、事件解決の役にはほとんど立たない女性メインキャラ」という悪い意味でキャラ被りをしてしまっている。
ただし成歩堂への恩義は忘れておらず、彼に対してだけは敬意を持った雰囲気である。しかし本作では二人が顔をあわせるシーンは最後まで無く『6』にてやっと共演する事となる。
また、『6』にてやっと念願の科学捜査官となり久しぶりに明るく仕事熱心な面を見せる事になり、捜査にも協力的に応じてくれるようになった。王泥喜に対しては「姉貴分」のような振る舞いに変化。ただし愚痴っぽい所とかりんとうは健在。
糸鋸圭介 前シリーズでは初動捜査担当の刑事として登場。刑事と弁護士という敵対関係であるにも関わらず、人の好さから捜査に協力してくれることも多かった。証言台に立つことも多く、法廷パートは彼の証言を崩すことから始まると言っても過言ではなかった。

今作では7年前の事件の証言者として登場するのだが、成歩堂に対し終始ケンカ腰で「意気地なし」呼ばわりするなど頭ごなしにけなしにかかる。前シリーズでは事件の真相究明のために成歩堂に協力し、自身が慕う御剣や自分の(元)部下を成歩堂が冤罪から救った時も成歩堂に感謝していた。また3の最終話では信頼関係のようなものが芽生えた描写すらあった。
その「意気地なし」と言った内容だが、被害者である天斎が「(自分の)額を撃て」と弟子2人に指示を行っていたのだが、成歩堂は「(自分がそのような指示を受けても)ぼくは撃ちませんけど」と答え、それに対して糸鋸は「それはアンタが意気地なしだから」と返した。とんちでの回避は可能であるにしても、実際に被害者を撃ち抜いたら、意気地なしどころか殺人犯である。
本作でこんな横柄な態度を取られて腹を立てたり戸惑ったりしたプレイヤーも多いことだろう。
ちなみに、この態度については『逆転検事2』にて(想像の余地はあるものの)ある程度補足されてはいる。
なお、7年後の世界では登場しない。クビになったのか配置換えを受けたのかは不明。
『5』以降も登場しておらず、現時点では本作が最後の出演となっている。
裁判長

シリーズ恒例の登場人物。外見や性格は全く変わっていない。
「最終的にはいつも正しい判決を下してくれる」のがジンクスとなっている彼だが、例の或真敷一座の事件ではとうとう判決を下せないまま被告人が死亡してしまい、審理続行不可能となってしまう。
この役目は「3」で登場した弟サイバンカンのジンクスである。また、第3話では証拠不十分な状況で「決定的」だと断言して検事の無茶苦茶立証に拍車をかけたり、最終話で(王泥喜をさしおいて)検事とともに真犯人にとどめを刺したりと、ところどころでおかしな行動を取っている。
たしかにもともとおかしなところのある老人ではあったが、3話では度が過ぎていた。
亜内武文

シリーズ恒例の第1話の担当検事。本作では髪型がさらに面白いことになっている(それに併せて新規のモーションまで作られている)。事あるごとに関係者から忘れられていたが、今回は成歩堂に覚えてもらえている。1話にしか登場しないが、本作では数少ないまともな人物である。
「みぬく」に突っ込みを入れて来る数少ない人物で確実に牙琉よりまともな検事。しかし、裁判後半になると(主に成歩堂のせいで)王泥喜ともども影が薄くなり、弁護士と検事が空気な法廷という異常事態となる。
ちなみに、『5』以降は弟の文武に出番を譲っており(『逆転検事』シリーズを抜きにすると)現時点では本作が最後の出演となっている。
原灰ススム

茜同様、『蘇る』からの登場。職業が法廷係官になっている以外は変わっていない。7年前の事件では裁判の警備を担当していた。
警官時代の服装一式を勝手に持ち帰って法廷係官となってからもそれらを身につけているというかなりの問題行動をしているのだが、元々やりかねないと思わせるマヌケキャラっぷりからか、それともさして話に絡まないからなのか、あまり問題にされていない。糸鋸と同じく出番は過去パートのみ。
しかし、ザックの脱走の際には、共犯であるみぬきの手品にだまされたせいでザックを取り逃がしてしまい、そのせいで法廷係官をクビにされてしまっており、彼も被害者である。
この他のキャラクターは存在を仄めかすような描写はあるが登場しない。しかし、成歩堂が上記の出来事に巻き込まれたことから、特に成歩堂との関係が深かったキャラに対しては「あの人物は何もしなかったのか?」「成歩堂を見捨てたのか?」などといわれの無い批判を受けたり、「動きたくても動けない状況だった」として、死亡説や長期の意識不明の重体説(逆転裁判の世界では死亡していても霊媒で動けるため)といったはた迷惑な珍説を流されたりした。これも、新シリーズなのに旧作キャラを登場させてしまったことへの弊害であろう。

証人・犯人など

第2話の証人、第3話の犯人、第4話の証人など「これぞ逆裁」といったような魅力的なキャラクターも中にはいる。むしろ彼らをメインに据えた方が良かったのではという意見は多い。しかし全体としてインパクトに欠けるというのがだいたいの評価である。今回はライバル検事が協力的なためか、事件の証人がさまざまな理由でグダグダな証言を繰り返してプレイヤーを苛立たせる。特に第3話で顕著。
人物問題点まとめ

大きく分けて主要登場人物の問題点は以下の三つ。

第一の問題は、ここに挙げた人物は全て作品の中核を担う人物であるにもかかわらず、その全員が何かしらの重犯罪に手を染めるか、自身の職務に対して不誠実で、潔白と言い切れるキャラがいないという点である。
一番誠実と言えるのは王泥喜だが、彼でさえ周囲の策略により捏造証拠の提出をやらかしてしまっており(これについては彼を責めるのは酷だが)、さらに全編を通して未熟・力不足すぎるためストッパーとして機能することが全くない。
前述した個性的なサブキャラたちも、足を洗いかけの極道だったり下着窃盗犯だったり真犯人だったりと、とことん黒い人たちばかりである。完全に潔白なのは第2話の屋台窃盗の被害者や第3話の被害者(不可解な行動をとってはいるが)、第4話の証人(見た目や「みぬく」ポイントなどで批判は受けるが人格はまともな部類)など本当にごく一部だけ。まあサブキャラについては以前からいい加減かつその行いをロクに咎められないな人物がたくさんいたし、第2話の証人などはギャグ面が強い人物なのであまり強い批判を受けることはない。
成歩堂について、ファンブックでは巧やプロデューサー・松川が「当初は酒を飲んでギャンブルをするという設定だったが、レーティングのため倫理上問題があるという理由で修正した」と語っている。そこは問題ないのだが、その一方で牙琉の職権濫用など、他の倫理上問題のある描写はスルーし通しなのはどういうことか(しかもそういって修正した成歩堂さえ証拠の捏造や盗撮など他にも問題山積みである)。
第二の問題は、本作の主要登場人物には前作までに見られた「過去を経験して人間として成長する」という描写がほとんどないという点である。
明確に「成長した」と言えるのは、最終話の現代の依頼人・絵瀬まことのみである。主人公・王泥喜は第3話を見る限り一応成長はしているが、物語の長さに反してささやかすぎる。
王泥喜とまことを除いた他のキャラは、大体以下のパターンにまとめられる。
自分がしでかしたことについて謝罪や反省、けじめをつけるなども一切しないどころか正当化するような発言をする(牙琉響也、ラミロア、成歩堂、ザックなど)
自分が何をしでかしたのかロクに理解や自覚すらしない(過去のみぬき、牙琉響也など)
自分がしでかした行動を自覚・理解したところで放置、誰もそれを咎めず、その後は自分も周りも特に気にする様子もない(現代のみぬき、牙琉響也など)
また王泥喜さえ、「(不可抗力だが)最初の裁判を捏造で勝利、以降その話題に触れない」という点で3に当てはまってしまっている。
数少ない例外はバランだが、彼は自らの悪行を反省こそしているものの、既にそれなりの年齢であること等からいまいち成長したという印象には映らない。
「事件を引き起こさない」という理由で茜も当てはまってはいないが、だからと言って明確に成長する描写もない。
以上、サブキャラならまだいいが、ここに挙げた人物は全員2話以上にまたがっての出演となり物語の根幹となる主要人物である。
第三の問題。登場人物の心理描写や背景事情や関係の描写がほとんどされないか、されても雑すぎて感情移入できないしキャラも立たないという点。
特に第3話の被告人に強く表れているが、それ以外にも王泥喜の過去や牙琉兄弟の描写の不足などはかなり痛い。
みぬきも王泥喜と同様に両親と離れ離れになったというのにそのことの心情を表す描写がほとんどなく、成歩堂がEDで「僕だけがあの子の素顔を知っている」と語るのみである。
成歩堂と茜に関してはこのせいで旧作からの変化が余計突飛なものに見えてしまい、単純に「改悪」と映る結果になってしまっている。
或真敷一座に関しては言わずもがな。兄弟子への思いなどをきちんと語ってくれるバランだけがまともである。
第2話限りの人物に関しては割としっかり描かれている。そのため第2話の評価は本作の中では高い。絵瀬まことも必要最小限の背景事情は描かれる。
以上、全部に当てはまらない人物を描くのは難しいかもしれないが、作中で善人扱いされる人物はこれら問題点の二つ以上(ひどいものは全部)当てはまってしまう。
というかまともな人物の筆頭である王泥喜とまことでさえ、これら問題の少なくとも一つに当てはまってしまっているというのが恐ろしい。
このため第一の問題点が問題点にならない悪役ばかりがまともな人物として映る結果になっている。
システムその他

新要素

主人公の新能力「みぬく」は、「ゆさぶる」の強化版と言えば聞こえはいいが、実態は法廷からつまみ出されないのが不思議なぐらいの言いがかり。
証言中や尋問中にイベントとして挟まれ、相手のさらなる証言を引き出すために「嘘をつくときは必ず○○をいじる」「事件現場の話など、特定の話になると必ず○○を触る」といった証言中のクセを探し出す能力。
具体的な流れをまとめると、法廷での尋問中に汗や指の動きなどを見て「あなたは○○について話すときだけ××しますね」と言い、さらに続く質問に証人は動揺しつつ証拠品と矛盾した発言をしたり、あるいは証拠品を突きつけるまでもなく勝手に白状するというパターンを繰り返す。一応、証拠を用いることも多いが、そこに至るまでの流れが強引過ぎる。
『逆転裁判』シリーズは基本的に「法廷では証拠が全て」という法体制の世界である。現実の裁判でも最初の「癖について指摘する」という段階で「誘導尋問」「論拠不確かな決めつけ」「証人への威嚇」であるとして、それこそ「異議あり」となり、裁判官から注意される可能性が高い。ましてや、通常の「ゆさぶる」でも容赦なく異議を唱え、弁護人の質問を遮ってくる逆転シリーズの検事となればなおさらである。
よって、「みぬく」が成功しているのは、検事と裁判官が一切異議を挟まず、弁護側の好きなようにさせているからなのである。亜内は辛うじて難癖をつけるが、牙琉は完全スルーなので、シリーズのアイデンティティの崩壊だろう。
現実にも嘘発見器は脈拍や汗などを調べることで心理状態を図るという原理で作られているが、これについてさえ信憑性は微妙なところであり、しかも「みぬく」は機械による精密な測定ではなく王泥喜の主観でしかないためますます説得力に欠ける。
システムの発想自体は悪くはないが、明らかに法廷のシステムと噛み合っていない。せめて、法廷ではなく探偵パートなら問題は無かったはずである(続編の『逆転裁判5』及び『6』では実際にそうなった)。
さらに言うと「みぬく」を使っても、それまでのシリーズと異なり法廷が次のパートへと進むことはほとんど起きず、作業的なポイント探しと相まって単純に余計な手間が加わっていると感じてしまう。早い話、爽快感が削がれている。
その「みぬく」ポイントに関しても批判がいくつかある。
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最終話に登場する証人の1人の「みぬく」ポイントが「一瞬だけシャツの腋が汗で濡れる」というきわめて判別しづらいものであるうえに、その証人の外見(ぶっちゃけて言えばキモい。しかも問題点を探すためこれを熟視する必要がある)もあって、多くのプレイヤーを色々な意味で苦しめた。同作品中最難関とも言われている。
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http://www.nicovideo.jp/watch/sm2688029

ラスボスの「みぬく」ポイントは手の甲に浮き上がるドクロのような古傷 *13 で、王泥喜はこれを指して「これが被告人が発言した「悪魔」だったのです」と言い切る。確かに色々な意味で悪魔のような人物ではあるが、被告人はその一言を呟いた直後に意識不明の重体に陥っており、何を「悪魔」と言ったのかすら不明な状態である。
これに対しラスボスは「だから何だと言うのですか? 動揺した証人はみな有罪ですか?」と切り返している。そりゃそうだ。そもそも、このようなセリフを言わせるということは、今作の開発陣はこの「みぬく」を「所詮はただの言いがかりに過ぎない」と解釈しているともとれるが、その場合わかっているならなぜ入れたのかということになってしまう。
棒人間を使った再現ムービーにより事件の矛盾が分かりやすくなったが、それが活用されたのは第1話と第2話だけ(第1話は静止画のみで動かない)。あとは従来どおりの上面図やムービーそのものがなかったりと活かせていない。
第3話にいたってはそういった再現ムービーや回想が一切ないため余計混乱しやすく、しかもスキップできないライブシーンを何回も見せられるため非常にテンポが悪く、プレイヤーをイラつかせる結果となっている。
『蘇る逆転』では3D動画を使った映像資料の矛盾点の指摘という画期的な物があったのにそのノウハウも活かされていない。
BGM

証人を追いつめ、事件の真相に近づくときに流れる「追求」。『逆転裁判』ではおなじみのこの曲は今回も一応存在するが、流れる回数が異様に少ない。さらに、本来盛り上がるべき最終話の後編ではなんと1回も流れない。前述の問題点と加えて最終話が盛り上がらない一因となっている。
曲自体の出来もいまいちと言われる事もあるが、あくまで使い方が下手なだけで十分に出来は良い。
裏目に出た原点回帰要素

新章ということでシステム面でも原点に立ち返った…らしいが何故か「5話構成を4話構成に戻す」「人物つきつけ廃止」という下方修正ばかりで、ボリュームの減退を招いてしまっている。
只の手抜きを原点に立ち返ったと言い換えてるようにしか見えない。
「人物つきつけ廃止」はその分選択肢が減っているため良くも悪くも難易度の低下につながっている。
全体的な「ネタ」の少なさ

旧作では捜査パートにおいて、相手に事件と直接関係ない証拠(『2』以降は人物も)を突きつけても専用のリアクションを取ってくれることが多かった(もちろん、状況や相手によっては何を突きつけても無意味な場合もあるが)。「色々なものを突きつけて反応を見る」というのが楽しみの1つでもあったのだが、今作はそれがほとんどなく、ストーリーを進めるのに関係ない証拠には「知らない・分からない」というワンパターンなリアクションしか返してこない。
旧作と比べると、法廷パートの証人・犯人たちのリアクションも全体的に地味で印象に残りにくい。詳細は下の動画を参照。

[ 本帖最后由 古兰佐 于 2017-8-10 14:27 编辑 ]

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